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草の根から変えよう日本の行政 ■
8月24日午後1:30〜17;20 於 鳥取県民文化会館ホ−ル
1.鳥取市長より歓迎の挨拶
市民生活を第一義に市民との協働をすすめ、ISO14001取得。環境問題のとりくみに力を入れている。昭和27年、中心市街地の1/2を焼失し、防災に強い計画的な都市づくりをすすめてきた。
2.片山善博鳥取県知事講演「鳥取県の自立に向けたとり組み」
●地方分権時代、最も大切なのは、自分たちのことは自分たちでやるという「自立」が 地域再生のキ−ワ−ドである。
国は道路公団の民営化を推進しているが、公共事業は透明性が低いと必ず不正がおきる。橋梁談合をなくすためにも透明化を優先すべきで民営化だけでは、絶対に解決しないだろう。
例えば、わが県では予算編成に関しても何%カットという総量管理ではだめで、中味を一見ずつチェックしてみると人がほとんど通らない道路がある。一件査定によって公共事業が半分になった。さらにオンブズマンに入ってもらって格付け基準、ル−ルの明確化により執行段階の透明化をおこなった結果、発注側の説明責任能力が問われるため、おろかな「シ−リング方式」に決別できた。
社会の大きな変化に対応するために、公共事業をはじめペ−パレス予算編成、原則にもどって労使交渉もすべてオ−プンに。会議に対しても納得のいくまで説明責任を果たす。議案修正、人事案件の不信任はいっぱいあるがすべてオ−プンにし、監査を徹底的にやってもらうこと、行政評価はやらず、予算を徹底し、外部チェックの強化(オンブズマンはリトマス試験紙)は有効。
●鳥取県の自立軸として市民啓発の機会づくりにベクトルを変換
これまでのまちづくりはハ−ド面が主だったが、まちづくりも都市計画部から生活環境部に移行させ、環境面からのチェック、アスベスト問題へのとりくみを行った。
これまでの市町村振興をやめ、県・市町村のノ−マライゼイションをはかり、年功序列を止め、勿論わが身もル−ルの支配下に。国に対しても同様。地域の発展は最終的には市民力だ。
パネルディスカッション「自立と改革」
パネリスト 片山善博(鳥取県知事)
篠田 昭(新潟市長)
村田邦子(神奈川県二宮町議会議員)
中島興世(北海道恵庭市議会議員)
コ−ディネ−タ−
新藤宗幸(千葉大学教授)
片山知事
就任早々、大規模プロジェクトの見直しや中部ダム建設中止を打ち出し、平成12年におきた鳥取県西部地震では前例のない個人住宅再建への公的支援を実施。
子どもの読書環境整備のため県下全小・中学校に司書配置。日本を知的な社会にするためには子どもの頃から読書に親しむことが大事。今、求められているのは啓発の機会を増やすこと、鳥取自立軸・ベクトルの転換が必要。役所としては県民・住民に対する情報公開や透明性の確保、現場主義の徹底。男女共同参画による女性管理職を増やす(4%→11%)など県庁の改革と地域の自立を推進している。
篠田 昭氏
自立する手段として、合併で日本海側初の政令市となることを選択。県並の権限と財源を持ち、自らが選択できる都市・市民主導の地域主権型の地域づくりを目指す。
具体的には、5年間で500人の職員削減、570億円を削り、農業自給都市・コミュニティの力を伸ばし、住民自らが支える自立都市をつくる。
村田邦子氏
神奈川ネットワ−ク運動を通して、自治・公開による生活者政治、参加型政治の実現により「市民の政治」を目指す。これまで5自治体で17本の条例提案をした。
中島興世氏
ニュ−ジランドのクライストチャ−チに学び、1980年代売り出された分譲住宅、めぐみの美しい街並み形成、地域のものを食べる地産地消、ブックスタ−トをはじめ、道内の新人市長村長による勉強会を主宰。子どもから高齢者すべての人々を視野に入れた”自立したまちづくり”の実践を目指す。
8月25日 10:00〜16:00 於、鳥取環境大学
午前の部 市民自治でよみがえる自治体行政
パネリスト 島田恵司(大東文化大学環境創造学部専任講師)
大石田久宗(三鷹市健康福祉部部長)
相川康子(神戸新聞社論説委員)
樺嶋秀吉(NPO法人コラポ代表理事)
コ−ディネ−タ− 今井 照(福島大学教授)
小泉内閣の「官から民へ」「新しい公共」の概念が広まる中、これまでの行政領域が転換期を迎えている。将来像がみえない不安が組織の硬直化を招き、職員が沈滞化している。
「公務」領域、「公私」の役割分担の論点で市民自治から自治体行政の再編についてどうあるべきか、行政再編について話し合われた。
島田恵司氏
地方公務員の給与カット・定数削減により、保育所・図書館・給食など民間委託が拡大。行革・新しい公共の名のもと市民力がまだついていないのに、行政の都合で市民に仕事を委ねている。行政からのコントロ−ルが加速しているが、やる前に考える必要があり。 行政の決定過程と実施過程に問題があるのではないか。財政危機が「行革」をあおっている。国主導の行政運営・地方行革は市民参加で克服可能なのか。
大石田久宗氏
三鷹市の市民参加は都市計画づくりなどさまざまな行政領域で協働事業を展開。
コミュニティ行政では施設の自主管理・健康づくり・機能回復訓練事業・配食サ−ビス・社会教育などを実施、連携を進める市民協働センタ−も整備された。しかし、自治体が開かれた運営を進めるためには市民との協働の関係を前提に制度として市民と行政の中間組織をつくり、職員自身が市民との協議を前提にサ−ビス執行するという職員のあり方について更なる自己改革が必要。
相川康子氏
10年前の阪神・淡路大地震で行政の機能が一時的に麻痺し、ボランティアの力が見直され、そのことが「NPO法」につながり、認証NPO法人が23.000をこえた。このことにより、市民の目は行政の非効率な運営や、常識外れの職員厚遇に厳しく注がれている。一方、行政内には市民団体を「単なるボランティア」としかみていない職員もいる。
協働は行政の穴埋めでなく「仕組みを変える」もの。人材・資金・情報を持つ行政の変革なしには市民社会は実現しない。
樺嶋秀吉氏
2007年問題、リタイアする団塊世代を地域に受け入れ多様化する住民ニ−ズに対応するため市民活動支援「1%条例」が千葉県市川市で始まった。また、政策決定過程への新たな住民参加方法としてドイツのプラ−ヌンクスツエレにならった「市民討議会」を東京青年会議所有志が模索中。自治体にとって大変な仕事だが、住民が行政に参加するシステムとして確立することは最も大切。
今井 照氏
「役所はなくなるのか、職員は不要なのか」公益的な仕事は誰がやっても公益的仕事だ。
公務員がやるから公益的仕事になるのではない。最後の公務員の使命は行政機構と市民管理型に再構築することではないのか。
午後の部 ロ−カル・マニフェストの課題と展望 〜マニフェストは必要か〜
パネリスト 西尾 勝(国際基督教大学大学院教授)
磯崎初仁(中央大学教授)
西寺雅也(多治見市長)
木原勝彬(ロ−カル・ガバナンス研究所所長)
矢島真知子(横須賀市議)
コ−ディネ−タ− 廣瀬克哉(法政大学教授)
ロ−カル・マニフェスト(政権公約)は従来の公約に比べ具体的目標を掲げることから 有権者が判断しやすい。政治への参加を促すものとして、今後定着が期待されている。 しかし、国政選挙以外配布できないこと、現職が有利、選挙後における自治体政策として実行システム・評価方法等、検討すべき課題も多い。マニフェストの将来は…。
磯崎初仁氏
マニフェストは地域政治を政策中心、市民中心に切りかえる有力なツ−ル。有権者として政策を選択できるし、政策責任の明確化、当選後の検証も可能。課題として、大衆迎合の一貫性のない政策にならないか、当選後政策選択が縛られるのではないか、二元代表制に適合するのか等、検討すべき点が多くある。
木原勝彬氏
市民マニフェスト運動として、奈良市長選の経験を披露。
西寺雅也氏
2003年市長選で「マニフェスト」を掲げ、当選後マニフェストに基づいた総合計画の見直し、市政運営をした。政策の目的・指標・費用を明示し、財政計画の公表や計画的行政運営はマニフェストの前提。
矢島真知子氏
地方議会はまだまだ前例踏襲主義、年功序列主義。時代の変革の波に取り残されている。マニフェストは議会にとって、新しい課題だ。
参加者;多摩市議会改革議員連盟 加藤松夫 冨所冨男 増田匠 遠藤めい子 住田啓子
(文責 住田啓子)
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