4月22日(月)午後2時〜 岐阜県多治見市
岐阜県多治見市は名古屋市からJRで30分圏にあり、人口106000人、市域面積は大変狭く7.78ku、ベットタウンとして宅地化が急速に進められたまちです。古くは奈良平安時代から、陶器産国、鎌倉時代から美濃焼きの中心地として知られ、昭和15年に市制施行。
西寺雅也市長は市議5期勤めた後市長となり、現在2期目。全国市長会廃棄物対策特別(委)や岐阜県陶磁資料館理事長も務めるという文化性の豊かな方です。信条は 「市民感覚を忘れない」ということ。
最初市長から多治見市の紹介、7年間のとり組みについてアウトラインが話され、その後各担当者(課長)から
@行政改革、
A財政改革
B環境政策(処分場問題)
C職員の意識改革(市長から)等話がありました(以下要約)
○西寺雅也市長
1995年、市長就任時、経常収支比率が89.8%と県下最悪の事態であった為、1996年度「財政緊急事態宣言」をし、財政の建て直しを行った。昨年(2001年)は「第5次多治見市総合計画」の年であったが、徹底した情報公開を前提に市民参加をすすめ市民との協働により「市民と行政が共有する総合計画」を策定、特に市民の自主、自律性を大切にした。
新時代に対応した新たな課題に対して、総合的横断的・重点的な計画をたてるなど、行政の意識改革とともに、市民・議会・行政がそれぞれの立場で参加した。特に気をつけたことは「行政が何をやるかではなく、市民がなにをするか、何が出来るかをかんがえてほしい」と政策段階から市民・職員・議員が共に学びながら独自の政策、基本政策づくりを行った。
1.行政改革
平成10年度から平成13年度までに98項目中79項目(進捗度81%)の改革実現、内容は組織機構、定員、給与、人材育成・確保、経費節減・健全化など行政内部に向けた改革は進捗度が高く、市民をはじめとする利害関係者、既得権者が多い事業は進捗度が低い。
例;●職員定数 達成度7.3% (△84人)
●事務事業 達成度12.12%(△103事業)
●歳出額 達成度16.24%(物件費、補助費、補修費の合計)
平成10年度約66億円、平成12年度約55億円)
●組織機構 7課を削減し、収納関係課の協調体制強化し一元的体制に。
●人材育成 人材育成基本方針、倫理規定作成
●補助金合理化 「見直し委員会」設置し、市民・行政で一体となって見直し、
決定にあたり一層の透明化を担保
●経費節減合理化 使用料の定期(4年)みなおし
●公共事業 前年比△10%目標(事業コスト削減行動計画、工事費基準表作成により)
平成11年度▲9.36%、平成12年度▲12.46%
平成13年度▲11.77%の成果を得た。
平成14年度から公共工事検査システムとして外部監査システムを導入
その他に、行政サ−ビスの向上(総合窓口、証明書交付窓口複合化、電子化、情報化推進の一元化、地域情報との一体化)
公正の確保と透明性の向上、広域行政では消防事務、競争入札参加資格名簿、国際陶磁器フェスティバル
2.財政改革
平成8年度決算において経常収支比率が県下最悪89.8%となったため、平成9年度予算編成にむけて財政緊急事態宣言を発し、財政健全化にとりくむ。(平成13年度に解除)
対応として、
@市債発行額を歳入総額の8%以内とする(8年10.3%、12年4.8%、13年 1.4%)
A財調 15億円以上維持
B土地開発公社への債務負担額 20億円以内
長期的財政運営にあたり、人口減、少子高齢化、労働力の減少による税収減、高齢人口増による社会保障費の増加、このような構造変化に伴い財政構造も歳入自然減、歳出自然増はさけられない。
そこで財政改革指針の設定
@予算編成は経常経費の削減(枠配分方式)、交際費をはじめ職員事務服、防災服の廃止、 委託料、補助金等の一律カット、負担金見直し(全国規模団体からの脱会)
A人件費の削減・定員削減・公債費削減のため繰上償還・事務事業見直し(東京アンテナ ショップ廃止1800万円、敬老会見直し2300万円、公共工事コスト削減2億678万円、
口座振込通知書の簡素化3000万円他)
●歳入増加(収納率増加、使用料・手数料見直し、印刷物有料化、市有財産の有効利用)
●財調措置(特別会計への基準外繰出し縮減、財調の積増し、市債償還対策積立)
●新規事業の実施(文化活動、IT関連事業、ビオト−プ型公園、風の道構想、バリア− フリ−化)
■新たな財政改革指針目標値設定
@市債発行額− 歳出総額の6.5%以内
A財調 15億円以上
B土地開発公社− 17年度末までに15億円以内
C市債償還対策基金− 基金残高が起債残高の7%目標
■財政緊急事態宣言は解除したが原則は継続する
3.環境対策
■全国初の一般廃棄物埋立税の創設
これまでの資源大量消費型の社会経済構造を反省し、「環境と共生するまち」をめざしている。政策として循環型社会システム構想、環境基本都市宣言を採択「脱焼却」「脱埋立」を最終目標として、23分別収集、生ゴミ処理器活用、指定袋による有料化、ISO14001認証取得など行った。
多治見市内には、名古屋市が設置する一般廃棄物最終処分場(愛岐処分場)があり、市外から一廃が持ち込まれている。そして、多治見市もゴミ最終処分を愛岐処分場に依存している。しかし最終処分による大気汚染、水質汚濁、悪臭・騒音・振動など環境負荷が多く、処分場の延命にあたって、廃棄物の重量に金銭賦課することとなった。税にすることにより市としての団体意志を明確にし、税収の使途も明確化、金銭収受もル−ル化。
このような地域固有の課題について地方分権に基づく自主課税という政策を選択。(新税は年5千万円の見込み、税収は環境改善にあてる)
4.職員の意識改革と人事制度の改革
(1)人事制度の改革
@定数管理の徹底、やる気のある職員の採用・登用・処遇・人材育成を目指して研修制 度の見直しと国・県・隣接市との人事交流、さらに人事管理者の意識改革(管理能力・ 政策形成能力重視・年功席制排除)
A非常にユニ−クなのは「希望降格制度導入」と主査、課長昇進試験に論文(30%)
面接(30%)、職務評価(20%)、総合評価(20%)…は四役評価、若手が増加
B目標管理制度(実績重視、組織目標と個人目標のリンク、失敗をおそれないチャレンジ 精神を加点評価、面接重視、評定結果はすべて本人に公開)
C人材育成基本方針策定
D人事交流推進
E.人件費削減対策
日当廃止、宿泊料引き下げ、超勤は月50時間まで、特殊勤務手当の対象・基準見直し
(2)グル−プ制導入
係制からグル−プ制へ
行政需要の多様化、複雑化により従来のタテ割りでは対応不可能なことから、係制を廃止してグル−プ制とし、係間の壁を払い、協業体制とした。課長補佐職を実務担当者としてくみこみ、意思決定がグル−プリ−ダ−、課長という二層制度となり迅速化した。課長のリ−ダ−シップの発揮が組織全体の活力向上、視野の広い行政が推進される。
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市長のわがまちづくりにかける情熱に若い課長たちが協同して施策にとり組んでいる様子が気持ちよく、伝わった。
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4月23日(火)(午前9時〜 )愛知県犬山市
人口7万3500人 国際観光都市としての犬山市には、明治村・国宝犬山城・犬山まつり。モンキ−パ−ク等で有名だ。
特に生涯学習にも力をいれている犬山市は設計から運営まですべて市民による楽田ふれあいセンタ−「しろやま」(図書館・公民館・視聴覚コ−ナ−・ホ−ル・音楽スタジオ・子どもの部屋)があります。
全国初の算数の副教本(小学校4〜6年向け)を自前で発行し、少人数教育をはじめた 犬山市をたずねた。
○教育行政について
2002年度から新学習指導要領に基づき学習内容が3割削減されることになったが、犬山市教育委員会は「ゆとり教育の方針で学習意欲をなくす子どもが増えている面もある」として、教員20名による副教本作成委員会を2001年度つくり、夏休み返上で会合を開き4年〜6年生向け算数の副教本を作成。
副教本によってゆとり路線に逆行した詰め込みにならないかとの危惧もあったそうだが、少人数教育を実施することにより、わかる、楽しい、授業展開になったという。少人数教育のために2001年度単独予算で非常勤講師28人採用(算数中心に1クラス20人以内)
副教本は少人数授業で児童が十分に時間をとって自ら学ぶ意欲に結びついたという。
一方で、副教本はつまずきを防ぎ、できる子をさらに発展させる内容になっている。
2001年度、学びの学校づくりを目指す犬山プランを作成、内容は
@教育の改革(自ら考える力を養う、総合学習の工夫、ティ−ム・ティチング、少人数教 育の導入)
A学校の改革(子ども、教師、保護者、地域が学び合う場として学びの共同体づくり)
B新しい学校経営(学びの視点から学務分掌の見直し、学校運営の効率化、中学校部活の 技術向上、地域の人々の学校運営への参加)
これまで教育環境の改善は国の責任において行われてきたが1998年に中教審がこれからの教育の主体は地方にあるとの答申を出し、法改正により独自のとり組みが可能となって30人学級への改善、市町村雇用の非常勤講師など国の対応待ちでなく、市町村教育委員会が主体性をもって行うことになった。
したがって、犬山市の副教本づくり、少人数クラスのとりくみ、外部校長任用、現場教師の創意工夫にまかせる、市教委の体制強化など地方主権でどんどんとり組んでいる様子に感動をおぼえた。
石田芳弘市長
「自分のまちの子どもは自分のまちで責任をもって教える」
「教育は官があまり握るべきでない、民間の風と光をいれる。民間の知恵とエネルギ− 入れることによって確実に変わっていく」
「NPOの実践者を助役にし、NPO活動をしている職員を登用していく、公務員の給料の中にはボランティア代が入っている」
「私は犬山に生まれ、犬山で育った。郷土愛をストレ−トに表現できるのは政治家だ。まちは一つの生命体だと思うから、自分の中に自分を治していく力を内蔵している。まちは一つの教育機関なのですべてを知ることで誇りが生まれ愛情が湧く、それが郷土愛となってまちづくりに結びつく」政治家の仕事は「目標、夢、希望を住民の皆さんに与え続けるつまり、こうゆう方向にもっていきたいと提案すること、そのことによって、まちを構成する市民の力が引き出される。
市民の力を信じることです」「たとえば、私は成人式をやめた。無駄なエネルギ−と500万円のお金を使っていたが、今年は30万円の会場費をかけ、若者たちの能力を信じて新成人にすべてまかせた。見事に自分たちでやりとげ、みんなが満足した」
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市長の話はまるでシンフォニ−を聴いているようで、心地よかった。「行政はクラシック音楽、政治はジャズ」ですとの名言も石田市長ならでは。あの郷土愛と市民を信頼する政治哲学はどこから生まれるのだろうか。
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4月23日午後 高浜市
(1)毎日型給食サ−ビス
65歳以上の一人暮らしと夫妻世帯が対象。市内11のお店に協力依頼し、平成11年1月スタ−ト。11店は社会福祉協議会の給食サ−ビス協力会員として登録。11店から20のメニュ−(和・中・洋食)を利用者が自由に選び注文する。この制度は配達しながら安否確認が重要で、これまで関わりのなかった高齢者にふれあいの輪が広がっている。(私たちの昼食は、あらかじめ注文しておいた平安食堂のエビフライ定食で、その食堂は1週間すべてエビが基本・エビ丼、エビ天、エビフライ、エビちらし、エビがメインで調理方法を変えるだけ、とても1食550円とは思えない豪華なランチだった)
(2)介護施設見学
@南部デイサ−ビスセンタ−
保育園と合築、園庭をコの字型に囲んで、廊下・ホ−ルでつながっている。ディセンタ−の大きなガラス窓から子どもたちの遊ぶ様子がよくみえ、園児の訪問が常時あるそうだ。虚弱高齢者のディサ−ビスで入浴・給食もあり保育園との合築による子どもとの交流が高齢者の元気につながり、子どもにとっても波長が合い、落ちつきのある子どもに育つという。すばらしい試みだ・
Aあっぽ(介護予防施設) 古い南部保育園を改修
93歳が最高齢、20人ほど女性ばかり、ほとんどが80歳以上、子育て中の女性たちが子づれで高齢者のおやつづくり、交流を通してそれぞれが元気になるそうです。
Bあかおにどん(ものづくり工房、特産品かわらの展示コ−ナ−もある)
地域のものづくり拠点として高浜市が設置して運営は日本福祉大学に委託。ここの目指す事業は、 (1)福祉用具を含めたユニバ−サルデザインの提案
(2)手作り用品
(3)ものづくり推進普及(手作り体験、イベント)来所した人とも一緒になってものづくりをするなど楽しい場です。
からくり人形、障害者の椅子、木工で何かを作っている人と三人の方がそれぞれものづくりに励んでいました。(全員60代の男性)
(3)森貞述高浜市長との懇談
(名鉄三河高浜駅前のいきいき広場いきいきホ−ルにて)
地域の財をどう掘り起こすかが課題だ。たとえば、給食にしても新たに給食センタ−をつくるのではなく、地域の中の飲食店に働きかけ、1週間に1回、地域貢献として高齢者の食・顧客満足度満たすべく需要側の論理でサ−ビスをしてもらう。
宅老所にしても、すべてあるものを使う、運営はボランティア、大勢の参加者が無理なく自発的に行えるよう、行政は環境整備だけを行う。公のサ−ビスは限界にきており、行政として考えていることは如何に良い人材を養成するか職員がそれぞれまちの経営にかかわるかだ。私には高浜の原風景が焼き付いているので、こわさないですべて利用する。次世代へと中味をよくして引き継いでいきたい。
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静かな語り口、この地でも郷土愛に根ざしたトップがリ−ダ−シップを発揮していた。
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