◆◆◆ 全国自治協30周年記念事業 
           ヨ−ロッパ視察旅行に参加して ◆◆◆  

               

(2005年2月14日〜23日)
   

  19団地から26名の参加と全国住まい連の代表であり福島大学教授(工学博士)鈴木浩先生が同行して下さり、ロンドンの「シェルタ−」訪問、バ−ミンガム市での約4000戸の団地再生をすすめるキャッスルベ−ル・コミュニティ住宅協会の方々の懇談など、バスの中での レクチャ−を含め意義深い視察となりました。

シェルタ−(ロンドン)訪問 2月15日
 イギリス全国に支所をもつ住宅運動団体で ロンドン市街の中心にある4階建ての事務所を訪ねました。私たちを迎えて下さったレス・ バロ−氏は1987年の国際居住年に来日され講演をして下さったとのこと。
 2階の明るいミ−ティングル−ムの円卓を囲みシェルタ−の活動の様子を伺いました。
 現在、イギリスには約100万人の住宅困窮者がいること。10万人が仮住まいを余儀なくされていることなどから、住宅困窮者の相談、高家賃のチェック、劣悪民間住宅の改善、公営住宅家賃滞納者への対応、住宅手当の斡旋、子どもの住宅環境改善キャンペ−ンなど、年間約3万件の相談に対応。国会議員への政策提言を含め専従者とボランティア700名で70の支所で活動を展開しているとのことでした。
 運営費は一般市民や企業からの寄付、政府の補助金等年間約70億円とのこと。

キャッスルベ−ル団地へ  2月17日
  バ−ミンガム市中心街からバスで約20分、平坦で広大な(250f )土地に1960年代開発された市内最大の公営住宅団地です。
1993年キャスルベ−ル・ハウジングアソシエ−ショントラスト(政府の団地再生機構)により、34棟の高層住宅のうち、32棟を撤去、跡地には2階建ての集合住宅や公園を整備し残る高層住宅1棟は、1階にディケアセンタ−を配した高齢者住宅に修復、さらには企業誘致や若者や失業者のための職業訓練所なども整備したとのことで”団地再生”の内容の多様さに驚きました。

CVCHA 地域住宅協会との懇談
   CVCHA(Castle Vale Community Housing Association)は今年、4月からこの地域の住宅の再生・管理を行う団体。公営住宅の民間払い下げ政策は1979年、サッチャ−政権発足時に政策決定され、18年間にわたる保守政権下での払い下げ戸数は200万戸といわれています。
 バ−ミンガム市は100万人都市、約9万戸の公営住宅があり、労働党政権の長いこの市ではブレア政府の民間化政策に反対したそうですが、住宅の老朽化、住宅修繕の負担増等により、公営住宅の所有権を非営利組織である地域住宅協会に委ねることになったそうです。
 CVCHA事務所の2階では立食パ−ティ式にオ−プンサンドやカナッペ、飲み物が用意されており、協会代表のビンガム氏の他、ベンチャ−企業の代表者、団地の自治会代表の方々それぞれの立場から住宅修繕、雇用の創出、工場誘致、コミュニティ再生のための多彩なイベント活動、子どもや若者のコミュニティづくりへの参加の推進の様子など話されました。
 再生とは建物ではなく、コミュニティ再生が基本であり、暮らしの充実であること。そして何よりも未来の当事者である子ども、若者の意見を尊重することが、まちづくりにとって最も大切だとの言葉が印象的でした。

わが国のHA・公団自治協に期待と感謝
 昨年、日本住宅公団が50年の幕を閉じ、都市再生機構に移行するさなか、わが国のハウジングアソシエイションともいえる全国公団自治協が30周年を迎え、記念事業の一環として、このような企画がなされたことは意義深いことだと思います。
 記念事業の実行委員長でもあり、長きに亘って多摩自治協をリ−ドして下さった片岡規子さん、全国自治協の井上さんそして神奈川、千葉、埼玉、関西自治協の代表の方々、ご一緒させていただき幸せでした。
パリオペラ座近くの古い街並みには、煙突のある19世紀の建物に暮らす人々、世界のファッションをリ−ドするシャンゼリゼ大通りのビルの上階は市民の住まい。私たちが宿泊したタ−ミナル駅ハマ−スミスでも大通りから一歩入るとそこはもう閑静な住宅地でした。

 人間生活中心の都市づくり・再生はデモクラシ−の象徴なのでしょうか。
いつまでも心に残る旅でした。感謝。