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集会テ−マ:憲法・教育基本法を活かし生活と地域をひらく社会教育の公共性を築こう
場 所; 富士箱根ランド 参加 400人
第1日目 8月5日
1.長澤成次氏 社会教育推進全国協議会委員長あいさつ
日本国憲法公布60年、憲法と不離一体の教育基本法の「全面改正」の危機にさらされている。教育基本法「改正」の先には憲法「改正」がまちうけており、教育の国家統制、社会教育の変質への解明が私たちに求められている。
現行法7条(社会教育)、与党(案)第16条(教育行政)第17条(教育振興計画)によって、現行法第10条(教育行政)における教育自主性と国民に対する直接責任性、教育行政の「諸条件の整備確立」責務が変質させられ、国の計画を参酌した自治体教育振興計画により、社会教育の内容にまで国が関与する装置がつくられる。「教育の国家統制法」(日本教育学会)というべき極めて危険な改悪案となっている。
2.基調提案 大串隆吉氏(東京首都大教授)
○教育基本法改悪、憲法改悪のねらい
○社会教育の市場に営利化の危機
○階層化の進行と不安定労働者の増大
○社会教育活動の展開
○憲法・教育基本法の改悪の動きの中で平和や民主主義をめぐる議論を地域からもりたていくことが緊急の課題
誰もが社会の主人公として、社会的に排除されることなく、支えあえる地域をつくるために、社会教育は何をなすべきか、これからの日本と世界の平和と民主主義に社会教育はどのように貢献できるのか、各地の実践をもとに話し合おう。
3.韓国平生教育総連合会長 パク・インジュ氏挨拶
(韓国の社会教育団体連合会からパク氏が代表して挨拶、10名の学生が来日)
日韓関係は外交・政治面でぎこちない関係が続いているが、私たちは社会教育を愛する日本の皆さんと共にこれまでも、そしてこれからも一層多くの対話と討論・交流・協力を通して信頼を構築し、より活発な日韓交流を続け、日本と韓国の社会教育が一層発展することを願い集会の祝辞とする。
4.課題別学習会
「自治体経営改革の中で社会教育のあり方を考える」
@今日の自治体改革とは何か
これによって、私たちのくらしはどのようになっているのか。
Aより豊かなガバナンスを導くためには何をすべきか
(1)池上洋通氏(自治体問題研究所)
地方自治・地方自治体をめぐる情勢と「小さな政府」論からの転換と題し
○社会教育は何をすべきかとの総論について
○世界的動向を踏まえた構造改革について
(2)手島勇平氏(新潟市教育委員会教育政策監)
自治体経営改革のなかで社会教育行政のありかたについて、課題と展望を
(3)山口祐子氏 浜松NPO支援の実践例の紹介と浜松市との協働の経験が話された
第2日目 8月6日 分科会
「カウンセリングを巡る新たな動向と市民主体の相談システムの創造」
社会教育施設の委託や指定管理者制度への移行など公共サ−ビスの市場化に代表される社会教育のきびしい状況下で市民の孤独化が進行している。つながりを求めようとする人々によって、カウンセリングマインド、傾聴ボランティア養成、チャイルドラインと呼ばれる子どもの相談等々が市民主体で立ち上がっている。
問題提起
傾聴ボランティア養成(PLA代表 後庵正治氏)
2005年11月に専門職によるボランティア団体としてPLA(Partnership & Listening Association)を立ち上げ傾聴することで、お互いが助け合う講座づくりを進めている。
「聴くこと」はむずかしく、PLAでは学習を通して人を援助することはどうゆうことかを体験するすること、プログラムは実習に重点がおかれている。特徴は参加者全員の自己紹介・当分科会参加の理由等を述べ、二つのグル−プに分かれて話し合い。夕方5時まで熱心に語り合った。
第3日目 8月7日
1.全体会 集会の報告
2.講演 テ−マ「教育基本法『改正』は教育・地域・国家をどのように変えるか」
講師 三宅晶子氏(千葉大文学部教授)
2006年4月13日、政府与党による教育基本法「改正」案の問題点について
@憲法との関係
A「愛国心」等、人格規範の国家による法制化(現行法第一、二条)
○国家にとって必要な「資質」をもった人材育成
○「教育の方針」を「教育目標」におきかえ
○「人格の完成」の中味まで達成すべき目標にかかげ、道徳心・公共の精神・等々あるべ き「心」や態度を細かく規定。
○問題点は愛国心だけでなく、人格のあるべき姿を国家が規範として、法律できめるとい うこと。
○心や態度の法制化は法の任務から逸脱
○家庭・地域・生涯学習等国民生活のあらゆる場面への介入
○教育の機会均等への空文化
○教育行政の中央集権的支配の完成
「改正」教育基本法の中に新たに組み込まれた(第17条教育振興基本計画)は具体的 教育内容の計画を、教育の現場から遠い「政府」が策定し「国会に報告」するのみで「公表」し、それを「参酌」して、地方公共団体が施策に関する基本的な計画を定めるとなっている。このことにより、教育基本法は準憲法的な理念法から行政政策法へと性格が根本から変えられてしまう。
その際、教育は行政からの独立性を失い内務行政の一部となる。そして地方は中央で策定した計画を「参酌」し、「実情に応じ」計画を定めることが求められ、地方分権とはほど遠い中央集権的従属関係が強化される。
以 上
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