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連載5回で終わる予定が約5年も続いてしまったという手塚治虫の大ヒット作品。
真っ黒なマントに身を包み、法外な治療費を取る天才無免許医。
しかし彼は隠れた優しさと、医者としての信念を持っている。
漫画家生活30周年を記念して昭和49年(ボクはまだ2才!)に始まったこの作品には
手塚漫画の歴代のキャラクターたちが入れ替わり立ち替わり登場する。
そして、彼をとりまくピノコの存在もエピソードに花を添えている。
 
*中でもとくにボクの心に残ったエピソードには印がかぶせてあります。*
*「これから読む」という方のために、極力ストーリーをぼかしていますが、
わかってしまったらごめんなさい。*
 
194.「宝島」

Treasure Island

 今まで稼いだ金をすべてよこせ!と、ブラックジャックはある男たちに拷問を受けていた。
やがてその金の大半を五條ミナという女性に送っていたことが明らかになるのだが・・・。
ブラックジャックの金の使い道がついに明らかになる一編。ラストにちと不満は残るが・・・。
195.「スター誕生」

A Star Is Born

 女優・杉並井草は、たった5年で主演女優賞をとるほどの大女優になった。だが彼女はな
ぜかへんぴな岬へ別荘を建て、そこに暮らすようになるのだが・・・。ブラックジャックにとって
顔を整形してしまう患者というのはある意味自分の過去を冒涜している者に映ったのかも。
196.「木の芽」

Leaf Buds

 体中から木の芽を吹き出す奇病に冒された弟・幹夫を救うため、小学生の兄・茂はブラッ
クジャックに手紙を出した。やがて幹夫の全身は葉っぱが生え出して植物の化け物のように
なってしまうのだが。植物は人を思いやる性質があるという。皮肉にも人間より素直に・・・。
197.「ドラキュラに捧ぐ」

Dedicated to Vampires

 葉斑しげりはいつも貧血気味で体育の授業を休んでいた。女性教師はなんとかしげりを
外で運動させたが、しげりは倒れてしまう。女性教師はしげりを家まで送り届けるのだが。う
〜む、だから「あの一族」はしきりに人間の生き血を狙っていたのか!と妙に納得(笑)。
198.「死者との対話」

Conversation with a Dead Person

 医師実習生の間武田は、解剖室で学習研修用に提供された死体を見ていてもたってもい
られなくなり部屋を後にする。そこで偶然その学校の先輩にあたるブラックジャックに会うの
だが・・・。医者にとって死んでしまえば人間はどの遺体も同じように見えるのかもしれない。
でも、その遺体のひとつひとつには生前のその人の想いが積めこまれているんだよな・・・。
199.「望郷」

Homesickness

 猫生島という長さ2キロほどのちっぽけな島には3年前から誰も住んではいない。その訳は
工場が海にたれ流した有毒物質が原因でその海の魚を食べた島人たちが次々と犠牲にな
ったためだった。明らかな公害非難の作品だが、それをも克服できる自然の偉大さが描か
れてる気がします。ただそこで失われた命は戻ってこない。釈然としない何かを感じます。
200.「霧」

Fog

 生まれつき精神分裂症の一種・緊張病に冒されていた少女・美江は、病気を苦に死のうと
谷川岳にやってきた。彼女を追いかけてきたブラックジャックはそこで深い霧に包まれ二人
は遭難してしまうのだが・・・。彼女は最期に本当に人を愛するということを知ったんだ・・・。
201.「夜明けのできごと」

A Happening at Dawn

 夜明け前、たかお少年は誤って工事現場の穴に落ち脳内出血を起こしてしまった。たまた
ま近くにいたブラックジャックは彼を手術することになるのだが・・・。進学競争のための積め
こみ式の学校、命よりも進学の親・・・勉強よりも友達を作ることのほうがよっぽど大事だ!
202.「きたるべきチャンス」

Development of Cancer

Treatment Medicine

 綿引博士はがん特効薬のポリサチニンを開発しノーベル賞を受賞した。だがブラックジャ
ックが彼の妹に呼び出されて見たものは、なんとがんに冒された綿引博士その人だった!
一見とんでもないことをするブラックジャックだがこういうところが彼の魅力のひとつなんだ。
203.「音楽のある風景」

A Surgeon Lives for Music

 D国の優秀な医師・チン・キ博士は、ビートルズの「Let It Be」をかけながらオペをするとい
った奇妙な趣味の持ち主だった。それは彼の祖国の政策が絡んでいたのだった・・・。好き
な外国の音楽を聴けない・・・日本にはそんな自由を縛られた国になってほしくないなあ・・・。
204.「闇時計」

An Internal Clock

 ブラックジャックはある黒人の村に手術をしにきた。そのお礼にその村で採れたダイヤを
もらったブラックジャックは、街である白人に脅迫されてしまうのだが・・・。黒人差別が色濃く
取り沙汰された一編。ボクの中にも生物時計はある。午前2時に起きる哀しい時計が(笑)。
205.「命を生ける」

Life of The Head Master of

Flower Arrangement

 生け花の永湖流家元の娘・ソノはあと一年しか生きられないポルフィリアという病気に冒さ
れていた。治らない病気に向かってオペをするのは無駄だと言い放ったブラックジャックだっ
たが・・・。オーソドックスな話だが、ブラックジャックの最後のセリフがこの話のすべてだな。
206.「コレラさわぎ」

A Cholera Scare

 海外から帰国したブラックジャックは、かつての同級生・安東と再会する。患者を家に待た
せていたブラックジャックだったが安東に押しきられ酒を飲むことになるのだが・・・。コレラ
に感染したかに見えたブラックジャック!しかし・・・このギャグオチは手塚先生お手のもの。
207.「20年目の暗示」

Suggestion in The 20th Year

 ある日オペをしていたブラックジャックは自分の指が動かなくなるような錯覚に陥ってしまっ
た。そのためにブラックジャックは友人の手塚医師の紹介で浅草上乃という精神科医に会う
のだが・・・。子供の頃に見聞きしたものってのは無意識に潜在するものなのかもしれない。

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