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連載5回で終わる予定が約5年も続いてしまったという手塚治虫の大ヒット作品。
真っ黒なマントに身を包み、法外な治療費を取る天才無免許医。
しかし彼は隠れた優しさと、医者としての信念を持っている。
漫画家生活30周年を記念して昭和49年(ボクはまだ2才!)に始まったこの作品には
手塚漫画の歴代のキャラクターたちが入れ替わり立ち替わり登場する。
そして、彼をとりまくピノコの存在もエピソードに花を添えている。
 
*中でもとくにボクの心に残ったエピソードには印がかぶせてあります。*
*「これから読む」という方のために、極力ストーリーをぼかしていますが、
わかってしまったらごめんなさい。*
 
1.「医者はどこだ」

Where's The Doctor?!

 大実業家ニクラは重症の息子アクドを救うため、無実のデビイを犠牲のしよう

とするが・・・。記念すべき第一回作品から、ブラックジャックの真骨頂、強い者
から巻き上げて弱い者へ・・・の図式が確立されている。すべての発端はここ。
2.「春一番」

The First Storm Of Spring

 ブラックジャックが通う居酒屋の娘・千晶は、目を患っていたが、そのうちにあ
る若い男の幻影を見るようになった。そして千晶はしだいにその男の幻影に惹
かれていくのだが・・・。初恋とは「春一番のような風みたいなもの・・・」かな?
3.「畸形腫」

The Teratogenous Cystoma

 双子のうちの1人ができそこなって生まれる畸形脳腫。だがその摘出手術をし
ようとすると呪いが・・・。その存在だけで暗い物語に光をあてる「ピノコ」初登場!
だがその初登場シーンは、不気味にも思えるほどオカルトなものだったのです。
4.「人面瘡」

The Face In The Affliction

 自分の意思とは関係なくしゃべりだす人面瘡に取りつかれた男には、実は大き
な秘密があった。 ミステリアスに進行するストーリーと、この男は何者なのかと
いう読者思いが交錯する物語。世の中に「勧善懲悪」はないってことなのかも。
5.「時には真珠のように」

Sometimes Like Pearls

 ブラックジャックにJ・Hという人物から一本のメスが贈られてきた。彼はそれが
恩師・本間丈太郎からのものだと直感し彼を訪ねる。「人間が生きものの生き死
にを自由にしようなんておこがましいとは思わんかね」「医学」の本質に迫る話。
6.「めぐり会い」

The Encounter

 5年ぶりに日本へ帰ってきた医師、如月恵はブラックジャックの古くからの友人
だと言う。しかし”彼”とブラックジャックとの間には・・・。ベールに隠されていた
ブラックジャックの過去が垣間見え、回想シーンも美しいが、やはりはかない。
7.「絵が死んでいる!」

The Picture Is Dying

 核実験の犠牲になった画家ゴ・ギャン。最期の絵を描くため、少しでも生き延び
たいと言う彼にブラックジャックはある決断を下す。単純に「反核」という訴えでは
はなくそれ以上の何かを感じる物語。人はなんて愚かで、そして素晴らしいんだ。
8.「六等星」

Star, Magnitude Six

 新院長をめぐり大騒ぎになっている真中病院。そこに勤める椎竹は誰からも相
手にされない人物だったが。病院内の汚職を風刺しながらもそれだけでは終わ
らない構成の深さを感じた。最終的に選ばれる人を選ぶのは多くの「人」なのだ。
9.「ブラック・クイーン」  

Black Queen

 外科医・桑田このみは、平気で腕や足を切断してしまうため、ブラックジャックの
女版・ブラッククイーンと恐れられていたが。ブラックジャックに惚れる女性は数多
く描かれていたが、ブラックジャックが惚れた数少ない女性のうちのひとりが彼女。
10.「U-18は知っていた」

U-18 Knew

 アメリカのある医療センターでは、全ての医療管理を巨大コンピューター「U-18」
に任せきっていた。ところが「U-18」は多くの患者が口にする名医ブラックジャック
に興味を持ち。機械とはいえ、患者を見放さないブラックジャックの気概に感動。
11.「アリの足」  

The Legs Of An Ant

 小児麻痺の少年は広島から大阪までを歩き通そうと決意した。その発端は「あ
る身障者の記録」だった。ブラックジャックと、患者から大金を取る彼を嫌っていた
少年との、言葉ではない交流が描かれている佳作。このおせっかいさがまた・・・。
12.「二つの愛」 

Two Loves

 一流の腕を持つ寿司職人タクやんは交通事故で両腕を失った。相手の運転手
を信頼し、技術を教え込むタクやんだったが。実は非常に好きな話。ラストシーン
の、運転手の妻の涙が印象的。読後にジーンとした感覚を残すお話であります。

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