この6thアルバムと5ヵ月後に発売された7thアルバムは対を成す盤となっており、こちらはブルーハーツらしい激しいロックを |
中心としたレパートリーになってます。4thあたりからかなり柔らかい印象になってきた彼ら自身を一度ぶっ壊そうとしてたのか |
な?そんな印象を受ける一枚ですね。世はPKO問題に揺れていた時期でもあり、それが反映されてる曲がいくつかあります。 |
「1.すてごま」はまさにその曲。ヒロトはさらっと歌ってるけど、徴兵制を思わせる歌詞がちょっと怖い。ウソでもホントでも、時間 |
ってのは限られてる。どうせその限られた時間の中で見るなら本物の夢を見たい!と歌う「2.夢」、気持ちいい疾走感とは裏腹 |
に「プルトニウムの風に~♪」という一節が影を落とす「3.旅人」、なぜかそこはかとない悲しみが感じられる「4.期待はずれの人 |
」、ヒロトの「1.すてごま」に対するマーシーの「5.やるか逃げるか」は彼らしいシニカルな歌詞が前面に広がる楽曲。ヒロト独特の |
詩の世界が心地いい「6.テトラポットの上」。確かに僕たち、20世紀の終わり頃に始まったばかりなんだよね。被害が出るのは |
迷惑だけど、なぜか爽快感を感じてしまう「7.台風」はマーシーらしい破天荒さが魅力。キレイなメロディーラインの「8.インスピレ |
ーション」を挟んで、マーシーこの盤唯一のボーカル曲で、ダラダラ生きるくらいなら俺らしいまま俺の死を死にたい、という激し |
い感情が静かにぶちまけられている「9.俺は俺の死を死にたい」へ。すべてを吹き飛ばしてやる!って勢いを感じる「10.44口径 |
」、どうせつくなら100年はばれないウソをつこうぜ!と歌う「11.うそつき」、どんな理屈をこねてみても、結局僕らの行く道は変わ |
らないという無力さを歌う「12.月の爆撃機」を経て、ドでかいスケールで人の心の機微を奏でる「13.1000のバイオリン」へとたど |
り着く。結局生きるってことは楽しいことをどれだけできるか、ってことに尽きる気がします。この曲を聴くたびにそう感じます。そ |
のためにみんな嫌なことを我慢してるんだもんね。以上駆け抜けるように演奏された13曲。そのほとんどが3分台で終わってし |
まう曲たちなのですが逆にムダだなあと思える演奏が一切なく、そこに彼らのトンガリ方が感じられる爽快な一枚なのです。 |
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