彼らの楽曲には内省的なものが多いのですが、前作に比べて飛躍的に明るくなった感じがするのはやはり |
ジャケットの効果もあるんだろうなっていう印象を持つ2ndアルバム。前作の暗闇の中ふたりが向き合ってギタ |
ーを弾きながら歌っているジャケットとは対照的に、今作はジャケットから歌詞カードから夏休み一色なのです |
が、これもまたいい味出してます。インストの後に軽快に始まる「2.あかね色の空」は好きなあの娘を連れ出し |
て驚かそうと思ったら、逆に驚かされてしまうという微笑ましい青春譚。しぇ、しぇいしゅんだなあ(笑)。「3.十六 |
度目の夏」は少々恋に引っ込み思案な少年の一生でたった一度の十六歳の夏を歌った一曲。GS風の前・間 |
奏部分がすごく新鮮だなあ。「4.夏の終わりの蜃気楼」は成長した青年が、子供の笑い声を聞くごとに少年時代 |
の自分を思い返す追想曲。ホントに17歳の作った歌かよ(笑)。ふたたびインストの後始まる「6.背広姿のエラ |
イ人」は、自分たちの好き勝手に社会を動かしていく大人たちに対するプロテストソング。あなたが旅立った時 |
手を振ってくれた人たちのこととその時の初心を憶えていますか?っていう表現がすごく突き刺さりますね〜。 |
「7.はがれた夜」は傷ついたあの時の気持ちが僕がここまで歩いてこれた力になっていると歌うシングル曲。 |
歌の後延々と繰り返される旋律が印象的。「8.夢見るジャンプ」は直次郎くん作のポップな楽曲。「がんばるあ |
なたこそ一番さ」と歌ってはいるんだけど、そこに裏打ちされたような悲しみを感じてしまうのは、彼のボーカル |
の個性なんだろうな。そして三度目のインストの後の「10.島を離れる夢を見て」は故郷の島から出て都会で一 |
緒に暮らそうって思ってる少年と、え?ここではダメなの?って思ってる少女の物語。「11.霞んだ山の向こう」 |
は自然の叙情的な風景を自分の過去とこれからに照らし合わせて歌われた楽曲。ギターソロが心の深いとこ |
ろにまで入り込んできます。「12.ふり向けば戻り道」は切迫したボーカルが印象的な楽曲。”あなたはひとりじゃ |
ないよ”っていう部分に力強さを感じるな。「13.いつもの通い道」は船で町まで通う少年の心の機微を歌い上げ |
たポップソング。だけどやっぱり心をくすぐられるんだよな。「14.明日へ」は、”これからいつまでも離れずにゆ |
っくり歩いていこうよ”と囁きかけるラブソング。間奏の口笛が逆の意味でプロっぽくなくていいな。以上全14曲 |
なんですが「歌のない曲V」ってのはないのかな?(笑)まあこのアルバムも決して明るいものではないんだけ |
れど、こんな若者たちがいるんだって知るだけで、日本もまだまだ捨てたもんじゃないなって思います。マジで。 |