11thアルバム「昭和」

1989年3月25日
 シングル『乾杯』の大ヒット、そしてTVドラマ「とんぼ」の大ヒット、そしてその主題歌である「4.とんぼ」のミリオンヒット、さらに
は映画「オルゴール」・主題歌の「6.激愛」の連続ミリオンヒットにより、ミリオンセラー街道を突っ走る要因になった彼にとって
もボクにとっても重要なアルバムです。一般の人に彼の名が浸透したのはこのアルバムからじゃないかな?「1.くそったれの
人生」は群れから離れ放しの一匹狼な男を歌ったロックチューン。ホントのこと言ってあんちくしょうをぶん殴っちゃえば心の
整理だけはつくんだろうけどね(笑)。「2.GO STRAIGHT」はふざけた世間の面々に向かっていつまでもまっすぐに生きてや
る!と宣言した骨太ロック。考えてみりゃこの頃の彼はすごく貴重な存在だったよね。自分の貧しかった少年時代に目を向
向けた「3.いつかの少年」は”俺の人生はどこから始まり いったいどこで終わってしまうんだろう”という人間の命題をかかげ
た名曲。CDシングルとして初のミリオンとなった「4.とんぼ」花の都・大東京を目指してやってきた男の哀歌が歌われていま
す。説明無用の曲だよね。「5.シェリー」はどうしても映画「オルゴール」で彼が砂浜をジープで走るシーンが目に浮かんでき
てしまうバラード曲。彼女の悲しみさえも大きく包み込もうとする男の姿がここに。「6.激愛」はまるで泥沼のような愛に陥った
恋人たちが描かれています。まさに激痛が走るような愛ですよね。「7.NEVER CHANGE」は彼に初めて子供が生まれた時の
その瞬間の心情をそのまま赤裸々に歌にした楽曲。なぜかドラマ「とんぼ」のワンシーンが浮かんでくるんです。今まで怖いも
の知らずだった男に初めて守らなきゃいけないものができた時の「おっかねえ」っていうあの心情は、この曲から来てるんじゃ
ないのかな。「8.プン プン プン」は何に対しても打算的な女を歌ったポップチューン。確かに女ってヤツはわからねえ(笑)。
シンプルなんだけど心に染みてくる「9.裸足のまんまで」は、新しい自分を探して都会へやってきた男が、やがてこうはなりたく
ないと思ってた自分になってたことに気づくという楽曲。彼の不器用なんだけどまっすぐな気持ちがそのまま歌になったような
作品。「10.ほんまにうち寂しかったんよ」男と女の本心のぶつかり合いが描かれた・・・まあラブソングというにはあまりにも
ドロドロしてる曲(笑)。関西弁で歌われることによって、余計に心が伝わってきますねえ。「11.明け方までにはケリがつく」
もう少し正直でいいんじゃないか?もう少しひたむきでいいんじゃないか?もう少しかたくなでいいんじゃないか?もう少し真剣
でいいんじゃないか?・・・と軽薄な世間に対する彼なりのメッセージがこめられています。この曲、真夜中に聴くと余計に染み
てくるんです。そしてタイトル曲「12.昭和」は、文字通り「昭和」というひとつの時代が終わり、その時代を生きてきた自分への
反省と悔恨が綴られています。そして新しい時代が来ようとも街はまた夜明けを迎えようとしている。彼の礎になってる名盤。

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