12thアルバム「JEEP」

1990年8月25日
1. 女よ、GOMEN   5. 海   9. 浦安の黒ちゃん
2. 流れもの   6. カラス   10.西新宿の親父の唄
3. 友だちが いなくなっちゃった   7. お家へかえろう   11.JEEP
4. 電信柱にひっかけた夢   8. しょっぱい三日月の夜   12.MYSELF
 このアルバムは大ヒットシングル「とんぼ」「激愛」を収録した『昭和』と、シングル「しゃぼん玉」を収録した彼の絶頂期の
作品『JAPAN』にはさまれて、実に地味な印象を受けがちなのですが、実はとんでもなく名盤なのであります(もちろんア
ポロ的にですが、この時期が一番好きという人が一番多いであろう・・・ことを信じてます(笑))。前作ではかなり近寄りが
たいオーラを放っていた彼がいきなり「1.女よ GOMEN」ですからね(笑)。ただ男はいつまでたっても女に迷惑かけっ放し
だっていう視点はすごく彼らしいし、共感する部分です。100年経っても1000年経ってもね(笑)。「2.流れもの」はまさに長
渕剛の王道を行く作品。曲中のメロディの反転がメチャクチャ気持ちいい歌。「3.友だちがいなくなっちゃった」はいつの
間にか自分と腹を割って話せる友達が、みんな大人風吹かしてた・・・っていう悲しい歌なんだけど、それを杉並児童合唱
団のみなさんが(笑)その重たい想いを軽くしてくれる。子供の歌声を使うなんて、シリアスな前作からは想像もつきません
でした。「4.電信柱にひっかけた夢」は彼のこの時期の作品の中でも特に好きな曲。若き日の悲しい回想録なんだけど、
この頃に培ったものが今彼の糧となっているんだろうなって感じるロックチューン。夜の海を泳ぐ大人たちの愛を歌った「5.
海」は心の底まで染みてくるバラード曲。まさに彼のこの時期の真骨頂であろう「6.カラス」はただ生きていくためだけに働
いてねぐらへ帰ってゆく男たちを描写した傑作。”俺たちは都会に群れをなすカラスだ”・・・名フレーズだ。まるで国家に反
旗をひるがえしたかのような印象を持つ「7.お家に帰ろう」もかなりハードな楽曲。初めて聴いた時「やっぱこの人すげえ!
」って思いましたよ(笑)。映画「ウォータームーン」の主題歌にもなった「8.しょっぱい三日月の夜」は、本当の男に出会い
たいと願う主人公を描いた楽曲。裏を返せば、自分をわかってくれる友達が欲しいんだろうね、彼は。映画「とんぼ」の脚
本家・黒土三男さんとの珍道中を描いた「9.浦安の黒ちゃん」は、どこかとぼけてるんだけど男の哀愁が伝わってくるコミ
カルかつ涙しちゃう一曲。「10.西新宿の親父の唄」はドラマ「しゃぼん玉」の劇中でも何度もメロディが流された名曲。若い
頃から世話になった飲み屋の親父の葬式に参列した彼は、そこで親父さんの想い出にふけり、時は動いているんだなあ
としみじみと感じる・・・っていう淋しいんだけど力みなぎる曲。タイトル曲「11.JEEP」は、軽快なメロディに、様々な想いをの
せて歌われたドライビング・ソング。そう、誰もいない海に来るとけっこう自分に正直になれるようになったりするもんなんだ
よね。そしてラストは自分自身に問いかけるやはり名曲「12.MYSELF」。彼の純粋さがとことんまで染み出てる歌です。

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