40歳を迎えた浜田省吾が、巨匠としての片鱗を見せた彼らしいアルバム。とはいえ前作から |
2年も製作期間がかかってるところに、彼の苦悩をうかがえる一枚でもあります。そしてボクが彼 |
の音楽に初めて触れた作品でもあるのです。40歳という年を迎えた自分にあえて銃口を向ける |
ロックチューン「1.MY OLD 50'S GUITAR」、友達以上恋人未満の女の子と海へ向かい、彼独特 |
の「恋人として前進したいのにできない」ナイーブな青年を歌う「3.少年の心」(←「ボク独特」でもあ |
る(笑))、そして今作中もっとも傑作だと感じる「4.青の時間」。たった3分強の曲だけど、目を閉じ |
れば恋人との待ち合わせ時間に間に合わなかったがために離れ離れになってしまう男の心情が |
にじみ出ている。この”去る者は追えず”的な、しつこく追うことのできないの様が浜田省吾の味( |
笑)。つづく「5.サイドシートの影」はおそらく”青の時間”の続編であると思うんですけど、大切な人 |
を失って虚ろに車を走らせる男の表情がすごくよく出てると思います。そして「俺は天使でも聖者 |
でもない」と言い切る「6.恋は賭け事」は、まさに人生賭け事のようなもんさと腹を据えたようなロッ |
クチューン。「君に賭けてもいいかい今夜」・・・素面ではなかなか言えない一言だ(笑)。オーソドッ |
クスだが彼らしいロックチューン「8.SAME OLD ROCK'N
ROLL」は、タフな時代を生きる同志に向 |
けて歌われた応援歌だ。もう若くないふたりがたどり着いた場所とは・・・「9.太陽の下へ」は、失意 |
に満たされた恋人たちの行く末を歌ったメランコリックな楽曲。そして現代の日本人、そしてこの |
地球という惑星に向けて警鐘を鳴らすタイトル曲「10.詩人の鐘」を経て、ラスト「11.夏の終り」へと |
つながる。彼の理想の老後(?)と最初は思っていたが、もしかしたらここで本気の引退宣言か? |
ともとれる曲である。アーティストの精神状態が追いつめられていればいるほど、皮肉にもアポロ |
的にはいい作品だと感じてしまう典型的な作品。(詳しくは「このアルバムを聴け!」へ) |