4thアルバム
「風待ち交差点」

2007年3月30日発売

 
 前作から約3年ぶりのオリジナルアルバム。ベスト盤もはさんでのリリースなので、ある意味「第二期直太朗」と呼べるんじゃないかな。
ポップさの中に「神聖さ」というか「別の誰かを想う気持ちの限りなさ」が込められている気がする「1.風になって」。手作り感いっぱいの
「2.BLUE」は彼独特の口笛&ラップも挿入されてる一編。よせばいいのに世の中の流れに乗って天狗になって負けて帰ってきたごく
普通の青年の悲しき人生観が綴られています。「もう二度と君を離さない。君を守ってゆく」と誓いながら彼女を傷つけ手放してしまった
男の後悔が歌われた「3.恋しくて」は君と歩いたこの道を振り返ってはいけないんだと自分に言い聞かせる壮大なバラード曲。微妙で
ヨレヨレで頼りなさげな「4.平凡ぶる〜す」。でも平凡に生きることが実は一番難しかったりするんだよね。だって「何事もない」ことがど
れだけありがたいことかがわかってしまったから。はっきり言って僕の中でシングル級の「5.シルビア」。この”シルビア”とは「幸せ」とい
う目に見えない状態を擬人化した架空の女性のことじゃないだろうか?と最近思うようになった。思い出よりこれからの夢に光を見つけ
たいと願う主人公の気持ちが至極伝わってきます。遠い昔からつづく人間の永遠のテーマを彼独特の伸びやかなボーカルが流麗に
歌い上げる「6.風花」は裏声の可能性を感じさせる(笑)。「この世に生まれる前には別世界で生きていた」そんな設定と奇抜なタイトル
が耳を惹く「7.しまった生まれてきちまった」はギター一本の弾き語り。生まれた以上いつかは滅ぶ。問題はどういう生き方をしたか、だ
よな。「8.Q・O・L」。「クオリティー・オブ・ライフ」の略。人間大した口をたたいたとしてもしょせん運命の中で流れに飲み込まれる些細な
存在なのだ。不利益なことが目の前に来るようになっているのだ。その中でどう生きれたかにかかってるんじゃないかな。って、あれ?
7曲目と同じようなこと歌ってるなこの曲(笑)。言葉って便利なものだけど時としてとても邪魔くさくなるよね。言葉なんていらない。ただ
抱き合うだけで気持ちが伝わればそれが一番いいことだよね、と歌われた「9.愛のテーゼ」に続き、このアルバムのリードシングル曲
「10.君は五番目の季節」へ。春夏秋冬は繰り返しやってくるのに君は僕の前に現れない。でも四季と同じように君を感じる時がある。君
は僕にとって五番目の季節なんだ。そんな青年の今は横にいない女性への想いが込められた作品。また今日もあの頃のままの君に
会えた。もちろん夢の中の話だけど。そんな切なさが散りばめられた「11.夢みたい」のサビ部分の「夢みたい」5回リフレインはさらに悲
しみを増殖させる。この「君」はこの世にいないのでは?そんな気もする。この曲を最後にするのはある意味酷だ。でも、優しいのだ。

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