夕暮れ(←もしくは明け方?)の中にたたずむゼンマイ仕掛けの「家car」が幻想的なジャケットの13thアルバム。 |
1曲目のインストを経て整然としたストリングスとともに始まる「2.虹」は彼らの作品の中でもターニングポイントにな |
る曲だろう。彼らふたりのコラボでなければ出せない光があります。伸びやかなボーカルのその先にきっと何かい |
いことが待っていそうな気がする。その前には大きな障害もあるのだろうけど。つづく「3.逢いたい」も代表曲になり |
うるバラード曲。めぐり逢う命はまたふたたびどこかで出逢えると信じたい。そんな想いが痛く伝わってきますね。こ |
れらを2、3曲目にもってくるとは、相変わらず出し惜しみをしないデュオだぜ(笑)。言葉は誤解や不安を生む。でも |
君と僕がいつまでもこうして一緒にいればそれを壊してながら前に進んでゆけるさ。そんな青年の気持ちを綴った |
楽曲。ふたたびインストをはさみポップ全開の「6.いちご」がスタート!ゆずには珍しく少々エロティックな歌詞が並 |
びますが、これもひとつのリアリティ?(笑)すべての人にとっての「7.スーパーマン」にはなれそうもない。でも君に |
とってだけのスーパーマンにならなりたいし、がんばればなれそうな気がする。岩沢君らしい素朴な曲だよね。お |
そらくこのアルバム・タイトル曲になるであろう「8.はるか」は何度聴いても心打ち震わされてしまう。誰にでも平等 |
に分け与えられている泪はどこからやってくるのだろうか?それはきっと心の奥底からなのだろう。そして幼き日に |
知らぬうちに焼きつけられた心象風景からくるような気もします。『虹』で描いたテーマをもっと噛み砕いて別視点か |
ら歌ったような「9.Yesterday and Tomorrow」はポップな中に力強さと怖れが同居している曲。この盤のアグレッシ |
ブ部門を一曲で担っているようなダンサブルな(笑)「10.シシカバブー」を経て、おなじみ「北川君の友人回顧録」で |
ある「11.レストラン」は若き日の哀しみを思い起こさせる一編。東京を好きじゃなかった僕に、僕より田舎者だった |
君はいろいろな”東京”を教えてくれた。そんな君も東京に敗れてひとり故郷に帰っていった。このシチュエーション |
似たような経験があるだけに染み入ってくるんですよね、曲が。僕らが生まれる前にも当然社会は存在していた。 |
その負担を背負わされながら生きる日々。それをこの曲では「「12.ゼンマイ」で動かされているような日々」と表現 |
しているのだろう。でも僕らの前の世代だって後の世代だって同じように自分たちのやり方でがんばっているんだ |
から、がんばらなくちゃね。さらにインストをはさみ、ラスト曲「14.みらい」へ。失敗した「横浜博」のテーマソングだ |
ったから横浜市民としては苦い記憶が残っているけど(笑)それを差し引いてもいい曲だ。「FURUSATO」という過 |
去へ思いを馳せていた青年たちは「未来」へと視線を向ける。この盤はそのはざまにある”今”を歌っているんだ。 |