彼がインタビューで言っていたとおり「上質の青春映画」を見ているような(聴いている |
ような、か)気がしてしまうセルフカバーアルバムです。10代後半から20代にかけての恋 |
模様が展開されているバラード3部作完結編。とはいってもバラードだけで構成されてい |
るわけではなく、学生時代の人気者同士のカップルの栄枯盛衰(笑)を題材にした「2.想 |
い出のファイヤー・ストーム」、君のオヤジの車を盗み出して海まで走ったのも、今では |
は君との最後の思い出になってしまったなあ・・・の(笑)「9.ラストショー」など、比較的速 |
い曲が加わる事によって、いっそうコンセプトアルバムとしての完成度を増している。恋 |
の経験のアニキ分的な視点で歌われた(笑)「3.恋に落ちたら」、浪人時代の予備校での |
ホロ苦い恋の経験譚「5.19のままさ」、恋と愛の間のかけひきに揺れ動く青年の心情を |
綴った「6.愛のかけひき」、レコードシングルのB面のみで今まで陽の目を見なかった、学 |
園闘争時代の悲しき恋物語「7.キャンパスの冬」など、通して聴くと時代は違えど学生時 |
代を思い出しジーンとこみあげてくるものがあります。彼の作品の中で、もっとも悲しみ |
が胸に突き刺さっているともいえる「8.途切れた愛の物語」がこんなアレンジになるとは |
驚きました。さらに最後を飾る学生時代の光と影を歌った大傑作巨編「10.遠くへ」は10 |
分にも及ぶ大曲ですが、聴くだけであっという間に時が過ぎ去ってしまう気がするほどの |
めりこんでしまえる作品。3部作の中で一番彼を身近に感じられる一枚ですね。 |