1st album
「十七歳の地図」(1983/12/1)
Seventeen's Map
 
言わずと知れた尾崎豊のデビューアルバム。
幾何学模様に彩られた街の壁を彼のシルエットが飛び越えてゆく姿が印象的なジャケットです。
十代半ばから後半を迎える当時の彼の想いが、収録曲の一曲一曲から響いてくる珠玉の一枚。
歌詞、メロディ、構成・・・ファーストアルバムにして最高傑作との呼び声が高い名盤です。
 
     
1. 街の風景  
 少年が青年に脱皮する瞬間に感じた、自分対社会という誰もが直面する迷いや想いを
素直にメロディーに乗せた楽曲。メロディーじたいは好きだけど、この西本明さんのアレン
ジがもうちょっとこう・・・詞を素直に聴かせてくれるものだったらなあ・・・と今でも思います
(↑西本明さんごめんなさい)。なのでライブや弾き語りで歌われる方がボカァ好きだな。
     
2. はじまりさえ歌えない  
 少年が都会に泥まみれになりながらもしがみついている様子が手に取るようにわかりま
す。でもこの曲のサビの部分”愛こそすべてだと俺は信じてる”と、このアルバム7曲目の
『愛の消えた街』の”いったい愛が何なのか それは誰にもわからないから”は同じ作者が
作った曲としてははっきり言って矛盾してる(笑)。それが彼の魅力でもあるのですけど。
     
3. I LOVE YOU  
 最初この曲を好きになれませんでした。なぜかというと、いかにもラブバラードっぽくベタ
な歌だなあなんてファンから怒られそうな感じがしてしまって・・・。でも聴き続けていくうち、
ある日この歌がそんな安っぽい評価の届かない聖地に存在していることに気づきました。
今すぐ「男が女をオトすときに歌う曲No.1」のレッテルをやめてほしい。いや、ヤメロ(笑)。
     
4. Highschool Rock'n Roll  
 学校に通いながらも授業をサボって、いったいこの勉強が何に役に立つのか?いずれ
自分も学校を卒業したら、ラッシュアワーにもまれて疲れ果ててるような表情の大人にな
ってしまうんだろうか?・・・そんな高校生の揺れる心情を綴ったロックンロールチューン。
バックで”ハウンドドッグ”の大友康平氏がシャウトしてることは知られているのかな?
     
5. 15の夜  
 言わずと知れた彼のデビュー曲(アルバムと同時発売だからその印象は薄いが)。メ
ロディーに字余りの歌詞が詰め込まれた感があるけど、それだけあふれんばかりの想い
を詰め込んだってことなんだろうな。メチャクチャ好きな曲であるし、とても十七歳の作っ
た歌とは思えませんが、迷いながら夜の帳に消えてゆく彼らの姿に自分の十代を重ねて
しまう楽曲です。町支さんのアレンジもいいし、まさしく尾崎豊を代表する名曲ですねえ。
     
6. 十七歳の地図  
 街角でさまよう若者たちの実情を、同じ若者である彼がとらえたロックチューン。確かに
今のボクの目から見ても、若者は街でおかしなことになってる気がする。でもそれは若者
たちのどうすることもできない自分をどうにかしたいっていうサインなのかもしれないなと
この曲聴く度に思ってしまいます。形は変われど、若者はいつの時代も悩むのですね。
     
7. 愛の消えた街  
 この盤の中で最もハードな楽曲である気がします。街から愛というものは消えてしまっ
たのだろうか・・・大人でも辿り着けない難題に彼はこの曲で挑みますが・・・ってそもそも
大人ってそういう面倒くさいと思えるようなものは敬遠したがるんですよね。でも彼は「愛」
というテーマを人生の最後まで追いかけたんだよな。そう考えるだけで感慨深くなる歌。
     
8. OH MY LITTLE GIRL  
 正直に言えば『 I LOVE YOU 』同様に最初好きになれなかった曲。ですが、そこに繰り
広げられている若すぎる恋人たちの行く末というのは、とても気になってしまいます。
のラブソングっていうのは、たとえハッピーエンドで終わっていても、どこか悲しさを残す
曲が多いんですよね。・・・というわけでこの歌も、いつの間にか好きになってた曲。
     
9. 傷つけた人々へ  
 「メロディが変わってるね」ってのが最初の印象でした。”僕をにらむ 君の瞳の光は 忘
れかけてた 真心教えてくれた”っていう表現が深いなあ。自分が正しいと思ったことも他
人から見れば決してそうじゃないって場合ありますよね。冷たい視線が逆に自分の過ち
を気づかせてくれる・・・「ありがとう」を言いたい”君”はもう目の前にいないんだろうな。
     
10.僕が僕であるために  
 このアルバムに収められた曲はどれも甲乙つけがたいところがあるけど、それでもこ
の曲が当時の彼の表情を最もあらわしている気がします。これから社会に向かって歩
き出す少年の心情がよく描かれていると思います。”僕が僕であるために勝ち続けなき
ゃならない”・・・その勝ち続けなきゃならない相手というのは、自分自身なんですよね。

 

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