ライブ・アルバム
「歌暦(うたごよみ)

1987年2月21日発売

1. 片想’86   6. クリスマスソングを唄うように   11.縁
2. 狼になりたい   7. 阿呆鳥   12.見返り美人
3. 悪女   8. 最悪   13.やまねこ
4. HALF   9. F.O.   14.波の上
5. 鳥になって   10.この世に二人だけ    
   
 1986年12月に東京・両国国技館で4日間に渡って行われたライブ《歌暦 Page86 恋唄》の模様を収録した唯一のライブ盤。
すごく臨場感があり、思いっきりその楽曲の世界に入りこめる名盤なのだ!「1.片想’86」は静かに始まるナンバー。いつ聴
いても夢からさめさせられる曲だ(笑)。そしてそのまま「2.狼になりたい」へ。オリジナルに比べて少しトーンが軽く感じるのは
やっぱりバンド生演奏の賜物と言える。でも逆にその軽いトーンがたまらなくいいのだ!ヒットナンバー「3.悪女」はサックスフ
ォンの効果ですごく足取りが軽くなって、すごくポップに仕上がってる。そして早くもこのアルバムのハイライト「4.HALF」。アレ
ンジはオリジナルに忠実なれど、この歌唱はもう「歌手」という範疇を超えてると思います。しかもラストでの盛りあがり。聴い
てるだけで涙が・・・。続くバラード「5.鳥になって」は目の前にいる愛しい人が眠る時に別の彼女の名を呼ぶという、どうしよう
もなく切ないシチュエーション。「愛した人の数だけ愛される人はいない」・・・なんと真理を突いた一節だ!そのくらい我を忘
れたくなる悲しい歌。この盤以外どこにも収録されていない「6.クリスマスソングを唄うように」はクリスマスだけは私のことを
愛して欲しいという女性の心情を綴った楽曲。アコースティックギターのみの弾き語りが、すごく心に染み入ってきます。「7.阿
呆鳥」は一転ロックなアレンジ。「あんたのことを忘れるおつむが軽いから」って唄ってるけど、忘れられないからこそ、忘れ
るのに必死なんだろうな、この人は。そしてこっから一気にデジタルサウンド!『36.5℃』から「8.最悪」は自分のやることすべ
てが最悪に感じてしまうロック。まさにボクの酔った顔も「最悪だ」(笑)。「9.F.O」は熱っぽい女性に舌を巻く男の心情を歌った
歌。何がスゴイって、この曲を女性である彼女が書いたってことだ!(笑)ちなみに「F.O.」とは「Fade Out(フェイドアウト)」の
略。本編最後の「10.この世に二人だけ」はこの世に二人だけ残ってもあなたは私を選ばない、という悲しい恋歌。「11.縁」
まさに人の出逢いは「縁」によって決まるもの、と納得させられてしまう名曲。ラストではマイクを使わず肉声だけで唄ってい
る。上記2曲とも『予感』から恋する想いを描いているが、成就されそうにない恋を描いている印象深い歌である。最後は最新
シングルから「12.見返り美人」「13.やまねこ」とつづき、ラストはシングル「あの娘」のカップリングに収められた「14.波の上」
ここでの彼女の歌声はもう涙声・・・。その感情の高まりがこちらまで響いてくる名歌唱である。この時のライブでは他に「勝手
にしやがれ」「髪を洗う女」「孤独の肖像」「まつりばやし」「不良」も歌われたようだが、あえて録音状態のよさを基準に選ばれ
た全14曲。心して聴きなさい!(笑)

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