「素晴らしい世界」と名づけられた12thアルバム。雄大で繊細なインスト曲「1.WONDER〜」を経て |
「誰もが物語の主役なんだ」と歌われたスピーディーな「2.ストーリー」へ。少年時代の微笑ましい回 |
顧録「3.モンテ」、自分の殻の中に閉じこもってる人へのメッセージ「4.おでかけサンバ」、愛する人 |
への「5.うまく言えない」気持ちを何とか一生懸命歌にしたバラード曲を挟み、軽快な「6.黄昏散歩」 |
へ。なぜか説明つかないけど涙が出るってこと、ありますよね。不完全な僕らだから誰かと出会って |
初めて幸せになれるんだよと歌われた「7.凸凹」、「生きる」という儚く歯がゆい存在の中に、それで |
も意味を見つけようとする「8.人間狂詩曲」と迷いながらも生き抜く青年たちの姿が描かれ、そして |
今はもういない大切な人のことを思い返すバラード曲「9.春風」へ。演奏すべてが主人公の切ない想 |
いとその思い出を運んでくる春風を十二分に表現してる名曲です。イントロが古きよきフォークソン |
グを思い起こさせる「10.明日天気になぁれ」は「どんなに背伸びしたって僕は僕でしかないや」って部 |
分にすごく共感をおぼえる曲。どんなに歩いても終わりはないのだから、どこまでも歩いて「11.行こっ |
か」という志を歌ったあと始まるロックチューン「12.眼差し」は失敗を恐れず突っ走っていこうぜ!と |
歌われた曲。「かんじがらめの若年寄りになる前に」って一節がグサッと胸に突き刺さる作品(笑)。 |
自分の思いをメロディーにこめたラブソング「13.君宛のメロディー」。そして今の世界情勢から感じ取 |
ったものを二人がそれぞれ歌った「14.つぶやき」、「15.ワンダフルワールド」でこの盤は終幕。「素晴 |
らしい世界」と銘打たれている割りに理不尽なことばかり起きる現代社会を歌った今作ですが、そん |
な現実の皮肉もこのタイトルに込められているのかもしれません。全15曲という大ボリュームであり |
ながら「長い」とか「曲が多い」という気がせずに全編通して聴けてしまうのは、やはり聴きごたえが |
やわらかく、聴くのに肩肘張る必要のない彼らの作品だからってことに尽きるかもしれませんね。 |