吉井和哉 Singles
 
 
 
1st Beautiful / HIKARETA / MY FOOLISH HEART(06.1.25)
 
 本名”吉井和哉”として放った最初のシングル曲。彼の歌う「Beautiful」には「美しい」という意味以外に「悲
しみ」の意も含まれてる気がする。実は何の豪華さもない、何の突飛なこともない、ごく普通の日々にこそ美
しさは隠れてるんじゃないか・・・そんな想いが伝わってくるシンプルでいて”美しい”楽曲。陽気さが漂うロック
チューンの2曲目は、君にひかれて、うたれて、みとめた楽曲(←何のこっちゃ?(笑))。まあ君にひかれて、
心うたれて、可愛い君にみとめられりゃ、そりゃあ変な踊りも踊るよな(笑)。そんなざわめきの後の3曲目は
生きるべきか、死ぬべきか、寂しく怯える自分の心に問いかける静かに奏でられた一編。けどこの主人公は
怯えながらも自分のか弱い心を何とか奮い立たせて歩いてゆこうと決心する。こういうパーソナルな曲を彼が
歌うとグッとくるなあ。本名”吉井和哉”として再出発するにはふさわしすぎるぐらいにふさわしい名盤です。
 
 
 
2nd WINNER / 発光(07.5.23)
 
 夜のサッカー場でただひとり無数のサッカーボールと戯れる彼のユニフォーム姿が印象的な一枚。サッカ
ー映画のタイアップ曲ということでこんな形になったようですね。表題曲には確かにサッカーを示すような単語
も出てきますが、彼の場合人生まるごとサッカーの試合に例えてるからスケールがデカい。考えてみりゃ取ら
れて奪って戻して怪我して・・・人生って試合してるサッカー選手みたいだ。そう、人は誰からも見える表面よ
りもその裏側にある顔の方が美しい。だってそれこそが”本当の顔”だから。2曲目は彼自身の歌手としての
スタンスをそのまま歌にしたかのような曲。ここまで来たら誰に何を言われようと歌いつづけていきたい・・・そ
んな魂の叫びを感じます。彼の詞には卑猥な表現も多いですが(笑)逆を言えばそれが最も真実に近づく表
現なのかもしれない。2曲とも突き抜けるような明るい曲じゃなくはっきり言ってダーク。そこがまたいい(笑)。
 
 
 
3rd Shine and Eternity / マンチー 』(07.7.25)
 
 このさわやかさは『トブヨウニ』以来だろうか?君が僕の目の前に現れて、そのことが太陽の光になり、永
遠が訪れた・・・そんな主人公の想いを歌った表題曲。かなり普遍的であまり彼に似つかわしくないテーマで
ありながら(←失礼だろ(笑))、それでも不思議と彼独特のはかなさ、悲しさを含んでいます。ヒップホップの
ようなサビ部分をはじめ、メロディーも新たな音楽性の片鱗をのぞかせています。続く2曲目では、ソロにな
ってからナリを潜めていた彼の魅力である”性”をテーマに暴れまくっております(笑)。この曲に出てくる主人
公ははっきりいって欲望のかたまり(笑)。でも人間の本質ってそこにあるような気もします。股間がHOT HOT
してホッとする(笑)。と、つらつらとこの盤について書いてまいりましたが、そもそも”マンチー”とは何なのだ
?(笑)なんだかこのシングル盤によって彼の方向性がまた見えなくなってきた、この先楽しみな一枚ですね。
 
 
 
4th シュレッダー / 上海 (エルビス風バージョン)(07.8.22)
 
 普通の生活をしていたら背中にシュレッダーを背負うっていう状況が訪れることはまずないだろうけど(笑)
愛する人と引き裂かれた辛さ、そして楽しかった思い出を切り刻んで忘れさせてくれるのなら、そんな状況も
悪くない。だけど辛さ、悲しさを切り刻んだはずなのに、サウンドから感じるこの切なさは何だろう・・・”シュレ
ッダー”はただの慰めにしかならないっていう無情観、そして”背中に背負ったシュレッダー”って感覚がすご
く飛び抜けてますよね。そして前作のカップリング曲”マンチー”でも見せた、彼の卑猥な一面が垣間見える
2曲目。でも卑猥に感じるのはそれだけ人間の本質に向かってるからとも言えるんですよね。ただなぜエル
ビス風なのかはわかりませんが(笑)。しかも上海とは?上海マンって・・・何?(笑)耳で聴くより感覚で聴け
ってことなのかもしれない。頭で考えるなってこと?(笑)初期の米米クラブが持っていた匂いを感じる曲。
 
 
 
5th バッカ / シュレッダー(LIVE) / バッカ(LIVE)(07.12.19)
 
 聖なる夜にただひとりたたずむ男の心情・・・いやこれはまるごと彼自身の心のうちのようにも聴こえます。
「バッカ」・・・「TALI」につづく第二弾ってな感じなネーミングですが、この意味があるようでなさそうな浮遊感
も彼の作品の魅力です。「会いたいのにもう会えない」・・・クリスマスの夜に感じた男のそんなやるせなさが
十二分に出た楽曲・・・なのですが、なぜアルバム発表後にこの曲がシングルカットされたかよく知りません
でしたが、次の2曲を聴いてちょっとその理由がわかった気がしました。きっと1曲目は”おまけ”なのだ(←失
礼だ(笑))。そう思ってしまうくらい次のLIVEでの2曲がすごく聴き物だったから。オリジナルでは裏声になっ
てた部分もLIVEではきちんと高音出してた『シュレッダー』、そしてアコースティックピアノのみの伴奏で歌わ
れた『バッカ』は余計な音を排除した分、詞が迫ってきて・・・ある意味オリジナル以上に響いてきました。
 
 
 
6th ビルマニア / くちびるモーション 』(09.1.28)
 
 都会は人の心に入り込み、数えきれないほどのいろんな感情を抱かせる。ここに来ると、ひとりでいる時
には思いつかないような幸せ感、そして悲しみ感が浮かんでくるんですよね。そしてあんなにも多くの人が
いるにもかかわらず孤独感を抱かせる。洋楽志向の強い疾走感あふれるナンバーですが、やっぱり刹那
を感じさせる彼らしい作品。決して明るい曲じゃないですが、なんとか転がってでも前に進もうって意気込み
を感じますね。そしてアイドルが歌うタイトルみたいな2曲目(笑)。彼独特の言葉遊びみたいな詞が羅列さ
れています。なんかイエローモンキーの曲みたいだ。っていうかソロになってから今までの作品では意識的
にイエローモンキーのような激しくきらびやかなアレンジを彼自身が避けていたような気がするのはボクだ
けだろうか?吹っ切れたのかな?にしてもこのジャケット、夜明けまで都会にいたから目が真っ赤(笑)。
 
 
 
 
 
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