彼の作品の中でとてつもなく名盤だ、と自信を持ってお薦めできるのがこのアルバムです。 |
海に向けられた砲台と彼の肖像・・・この緊張感の走るジャケットが、ただならぬ雰囲気を醸 |
し出しています。。オープニングの「1.OCEAN BEAUTY」は海を想わせる美しい中に何か含み |
を持たせているかのようなインスト曲。続く「2.マイホームタウン」は誰もがまるで誰かに決め |
られたかのように同じような暮らしている”希望が丘ニュータウン”という架空の街から抜け出 |
そうとしている青年を歌い、「3.パーキングメーターに気をつけろ
!」は都会の心の病んだ若者 |
たちの苦しみを描いている。2・3曲目は連作のような気がしますね。「4.ロマンスブルー」は別 |
れてしまった彼女を想い顧みる男の心情を歌ったバラード曲。「6.愛しい人へ」はやっとめぐり |
会えた愛する人を目の前にして、心の底から思いの丈を歌う素晴らしい作品。この頃の彼に |
は珍しくハッピーエンドな・・・でも想像ですがこの先また紆余曲折を繰り返すんだろうなあ、こ |
の主人公は。浜田さんの作った歌だしね(笑)。さらにグッと若返って少年たちを主人公にした |
3曲を挟み、本アルバムのクライマックスへと向かってゆきます。「10.凱旋門」は戦争により離 |
ればなれになってしまった恋人たちを歌ったガラスのようなバラード曲。彼は確かに戦争から |
帰ってきた。でも・・・彼が生きて帰ってきたかどうかは定かではありません。いろんな悲しい |
想像ができる曲。そして恋人たちのエピソードと絡めながら、地球規模での警鐘を鳴らす8分 |
を越える問題作「11.僕と彼女と週末に」へと辿り着きます。力と力のシーソーゲームが繰り広 |
げられているこの惑星で、それでも僕らは生きていかなくてはいけない。そして人がどんな想 |
いで夢を繋いできたかを子供たちに伝えてゆかなければ・・・20代最後にこんな大きなテーマ |
に取り組むなんて圧巻です。そして聴いた後に何とも言えぬ空虚感に襲われる名盤なのです。 |