このアルバムは全体的にしっとりしていて、すごく落ち着きを感じますね。それだけボクの大好きな
バラード曲も多いってこと!「1.恋路海岸」は村下さんが能登半島を旅行された時のことをモチーフ
に描かれた「愛しさ」をテーマにした名曲。「2.小指」はその表現力に脱帽しました。親指のように太
く強くは生きられず、中指のように長く格好よくも生きられない、薬指くわえても安らぎを得られず・・・
う〜ん、詩人。「3.平凡」はまさに”平凡”ってことはどういうことなのだろうかを考えさせられるポップ
でシリアスな楽曲。「4.禁じられた遊び」は決して結ばれることのない二人を描いた悲しい恋歌。まさ
に「ふらつく二人のフラメンコ」である。「5.ソネット」はシングル曲。「いちばん好きな人 あなたのた
めに 生まれて死ねるなら 何もいらない」・・・字面にするとちょっと照れくさい文章も、彼の歌声とメ
ロディーによって、かけがえのないフレーズとなりますねえ。「6.幸せのメロディー」は「新婚さんいら
っしゃ〜い」の歌(聴けばわかります(笑))。でもちょびっと切なさを感じるところも彼の個性ですね。
「7.野菊よ」はアルバム・タイトル曲ですが、すごく重たいアレンジ。でもまるで野菊をひとりの女性に
見たてて歌われているこの悲しげな曲、好きなんですよねえ(笑)。「8.水無月十三夜」は病室で死
ぬゆく父親に対する感情を歌った楽曲。父親の今までの人生を考えながら、息子は父親に対しての
想いを涙ながらに綴っているのです・・・。「9.読み人知らず」はパンチのあるサウンドにのって、若者
たちへのエールを送ってるような気がします。最後を飾る「10.おやすみ」は今までの9曲の悲しみを
振りきるような、夢のような歌。たとえ今日一日、つらいことがあったとしても、「眠り」だけは君の味方
だよって言われてる気がしてなりません。ラストに明るい楽曲を配してあるところも、この盤の魅力!
9thアルバム 
「野菊よ 僕は・・・」

1989.11.1

 
 
1. 恋路海岸
2. 小指
3. 平凡
4. 禁じられた遊び
5. ソネット
6. 幸せのメロディー
7. 野菊よ
8. 水無月十三夜
9. 読み人知らず
10.おやすみ
 
 

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