13thアルバム「JAPAN」

1991年12月14日
1. JAPAN   5. I love you   9. 気張いやんせ
2. 俺の太陽   6. 何ボの者じゃい!   10.シリアス
3. しゃぼん玉   7. 親知らず   11.東京青春朝焼物語
4. 炎   8. BAY BRIDGE   12.MOTHER
 彼の最絶頂期のアルバムだと強く思っている一枚です。このアルバムを引っさげ行ったツアーの東京ドームにおいては
65.000人の観客を集め(何とチケット発売開始後41分で完売!)しかもアンプラグドだけで勝負した傑作ライブでした・・・
ってビデオ観ただけで参加はしていませんが(笑)。タイトル曲「1.JAPAN」は一人の日本人として、そして一人の父親とし
てこの国の行く末を案じ、当時の湾岸戦争とリンクさせ、日本がどこへ向かおうとしているのか、というテーマを歌った壮
大な曲。一転かきならされるベース音と刻まれるリズムがたまらない「2.俺の太陽」は、”今どきの男”をテーマに自分とリ
ンクさせた作品。彼が主演し”町医者ポー”がイカしてたTVドラマの同名タイトル曲「3.しゃぼん玉」は、メロディ運びは軽快
なれど、ところどころになぜか淋しさを感じてしまう傑作シングル。まさに情念の炎がそのまま曲に乗り移ったかのような
美しいバラード曲「4.炎」に続き、いまどきの女の攻略編(?)とも言うべき「5. I love you」へと繋がります。でも彼がこの曲
で言おうとしたのは、持ちものが一流かってことよりも付き合い方が一流かどうかが大事だろ?ってこと。でも彼の口から
エルメスだのフェラガモだのって単語が出てきたことがすごく意外に感じました(笑)。たかだか俺されど俺っていうスタン
スが大好きな「6.何ボの者じゃい!」もイカしているし、日本人(彼)対世界というスタンスを取った超高速ロックチューン「7.
親知らず」もシビれます。地元民としては何ともうれしい「8.BAY BRIDGE」(笑)、全編鹿児島弁で綴られた「9.気張いやん
せ」も彼独特の雰囲気を放つメランコリックな楽曲。そしてラストに向けてのここからの3曲がまたすごい。”妻や子供が背
負い込む荷物より重いのなら 一生淋しがり屋の男の方がいい”という潔すぎる方向性を打ち出した「9.シリアス」。でもこの
男はそれを口に出せないでいるんですよね。それが剛さんの美徳でもあるんだろうし、ボクもそんな感じです?(笑)。アコ
ースティックで詞も深い歌だなあ。地方から東京に出てきたふたりがこれから都会で暮らしていくんだという決心を、若き
頃の回想録とともに歌にした「11.東京青春朝焼物語」。そしてこのアルバム最大のテーマ曲であろう「12.MOTHER」は、
彼と、認知症になってしまった彼の母親とのやりとりが綴られている。今まで自分の身を削ってまで育ててくれた母親。でも
目の前にいるのはここがどこなのかも、俺が誰なのかもわからずただ微笑んでいる女性・・・何ともいえない感情がこみあ
げてくる彼の傑作中の傑作です。人は帰りたくても母親の子宮の中に帰ることはできない。何と究極的なテーマでしょう。
それは決してマザコンというものではなく、誰しもが持っている感情なんだと気づかせてくれる大曲。すごいアルバムだ。

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