このアルバムには「スピッツの作品」という点以外、今までの作品たちに感じてきた統一感をあまり感じないんです。そこがまた |
いいところでもあるんだけど(笑)。「1.僕のギター」には”これぞスピッツ”と言わしめんばかりのメロディーとメッセージが。彼らの |
抱えるテーマをそのまま歌ったかのようです。「2.桃」はポップなんだけどどこか切なげな楽曲。他人が笑うような、よれよれな幸 |
せを追いかけたいって、すごくわかるような気がする。軽やかなギターサウンドが印象的な「3.群青」は自分の存在を見つめ直す |
ことがテーマになってる。自分がここにいるって実はすごい奇跡なんだよね。「4.Na・de・Na・deボーイ」はエフェクト効果を多用し |
た早口ボーカルが印象的。ナデナデボーイ・・・不思議な言葉だ(笑)。「5.ルキンフォー」は不器用に転がりながら生きてきた青年 |
の心情を綴った楽曲。受けてきた傷は言い換えれば人生の軌跡でもあるんだよね。届きそうな気がしてる・・・それぐらいがちょう |
どいいのかもね。このサビ部分のメロディー、やられたなあ〜!と思わずうなってしまったポップな「6.不思議」。今までにありそう |
でなかった染みる旋律を巧みに作り出す彼らに脱帽です。「7.点と点」はロックでポップな新しいんだけどどこか懐かしいラブソン |
グ。君と一緒にいるとどうでもいいことなんてなくなる・・・そんな気持ちをいつまでも持ち続けるのってある意味難しいけど(笑)。 |
全編中唯一といえるバラード曲「8.P」は、ちっぽけなんだけどそれでも炎を絶やさない命のか細さを感じる楽曲。「恥ずかしい」 |
って感性、なんだかこの国からどんどん消えてってるような気がするな。映画の主題歌にもなった「9.魔法のコトバ」は正宗さんの |
メロディーさばきが冴え渡る一曲。かつて好きだった人との記憶に残ってる会話って、どれも魔法のコトバって感じがするよなあ。 |
スピード感あふれまくる「10.トビウオ」は勢いも感じるんだけど、なぜか切なさも感じる曲。言葉まわしも少し変わってきたような気 |
もするなあ。”ホンマモン”とか”くたばる前に”とか(笑)。ハードなギターが轟く「11.ネズミの進化」は泣きのサビメロが印象に残る |
一曲。人間にとって進化するってことは何があってもしなやかにすり抜けられるネズミようになるってことなのかな。悲しいことだけ |
ど・・・。タイトル曲「12.漣」は、不器用でも生き抜いていこうとする青年の意志を歌った作品。たとえ鳥のように器用に飛んでいけ |
なくたって、僕らには地道に山や海を進める”脚”があるんだもんね。「13.砂漠の花」は「君は僕にとって砂漠の中に咲く花だった |
よ」と歌うラブソング。全編を聴いて「統一感がない」って冒頭で書きましたが、ひとつだけ共通点を見つけました。それは「いつか |
また君に会いたい」ってことがほぼすべての曲のテーマになってるってこと。言い換えればそれは彼らの永遠のテーマなのかも。 |