8thアルバム
「I DON'T LIKE MYSELF」

1993年10月21日発売

1. だからこんな俺がきらいだ   7. お前といこう
2. あそこへは   8. 水の中にいるようだ
3. 月が一番近づいた夜   9. もう寝なきゃだめだろ
4. しろながすくじら   10.ガード下
5. どうもありがとう   11.なんとかしなきゃ
6. ありがてぇ   12.えらいこった
 
 ボサボサだった長髪がバッサリと切られスッキリとした彼の肖像が印象的な今アルバムは、タイトル通り今の自分を全否定した
「1.だからこんな俺がきらいだ」から始まります。自分の嫌いなところをこれだけ羅列して歌にしてしまえるところが圧巻。”優しいって
ことは機嫌のいいことと違う・・・確かに!続く「2.あそこへは」は、以前のバカばっかりやってた俺と今の俺は違う。今では守るもの
もあるし、いい加減にゃ生きられない。だからもう悪いことばっかりやってたあそこへは戻らない、という男の決心を歌った曲。人々
の願いが叶う不思議なことばかり起こる「3.月が一番近づいた夜」は、聴いてるだけで込み上げてくるものがあります。「4.しろなが
すくじら」・・・確かにボクも一度でいいから会ってみたい(笑)。そしてふたたびアルバムは自虐ソングへ。「5.どうもありがとう」はこれ
でもかっと自分への悪口を羅列。潔いっていうか何ていうか・・・(笑)。シングル曲「6.ありがてぇ」はカラオケボックスに彼の曲目とし
てある数少ない楽曲のうちの貴重な作品(笑)。くたびれて寝る前のひとときを切り取って歌にしたこういう彼の曲は本当に味わい
深いものがあります。「7.お前といこう」という決心を歌ったこの曲は、とにかく二人で前に突き進もうって意気込みを感じる、この盤
では数少ない「明」な作品。確かに希望を持ってやって来たこの街も、今じゃ自分がどうしたいのか、どこに行きたいのかさえわか
らなくなったと嘆く「8.水の中にいるようだ」、病気で身体をこわしてしまった幼き生命を思いやる「9.もう寝なきゃだめだろ」、盲目の
ズタボロのハーモニカ吹きと、その横を今どきの若い男女が何も目にしなかったように通り過ぎてゆく今の都会の縮図をそのまま
歌にしたようなブルース「10.ガード下」。この8.〜10.の3曲は彼のマスターピースとも言うべき名曲だと思います。そしてふたたび舞
台は自虐へ(笑)。「11.なんとかしなきゃ」はこのままの女々しい自分じゃこの先は乗り越えられない。それがタイトルへと繋がって
ゆきます。ラスト「12.えらいこった」は自虐アルバム集の最後を飾るべきケンカ歌。相手の顔色ばっかりうかがってる男の気の小さ
さをニューヨークの一流ミュージシャンと録音してるんだからすごいね、この人(笑)。もしかしたら彼はこのアルバムでいったん自分
という存在をリセットしたかったのかもしれない。それがこのアルバムタイトルに繋がっているのでは?・・・そう感じてしまいます。

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