9thアルバム
「10+1」

1994年10月10日発売

1. 彼女少々疲れぎみ   7. なんてえらいオイラ
2. カラス鳴いて   8. 夜がたまる
3. 今日はどこに行こ   9. 話せないことが
4. こんなに天気がいいからよ   10.小さな声で話そ
5. 彼女は   11.メリーゴーランド
6. 一パイおくれ    
 
 自主製作盤『新宿の片隅で』から数えて10枚目となる記念すべき1枚。なので10人のギタリストを迎えて1対1で作りあげられた
温かみのある音が印象的なアルバムです。ちなみに発売日も10月10日、同発で3枚組みのベスト盤「10 CD BEST」も出たなあ。
この頃福山雅治さんが彼の『SORRY BABY』をカバーし、コーヒーのCMにも起用されたっけ。だけどSIONさんの活動はあくまで
マイペース。そこもすごかったりするんだけど(笑)。アコーディオンの柔らかい音色が心地よい「1.彼女少々疲れぎみ」は適齢期
を過ぎたお姉さんたちへの哀歌。しかも最後には彼らしい小ネタも入っててちょっと噴き出しちゃうな。「2.カラス鳴いて」は彼自身
に対する戒めを歌った曲。なかなかここまで正直に自分を吐露できるアーティストはそういまい。ある休日のワンシーンを切り取
った「3.今日はどこへ行こ」。聴いた後どうしようもない悲しみに襲われる名曲です。一転軽快なバイオリンがウキウキ感がコミカ
ルな「4.こんなに天気がいいからよ」ですが、このコミカル感の裏側に悲しみを感じてしまうのは、やはり彼の個性なのかなあ。俺
にゃもったいない「5.彼女は」絶対しあわせにならなくちゃいけない、と歌いながら「俺がしてやる」と言えないのも彼らしい(笑)。
彼の作品にとって「酒」は最重要アイテム(笑)。それをそのまま反映したかのような「6.一パイおくれ」、やっぱり行き着くところは
「酒」な(笑)「7.なんてえらいオイラ」と続きます。”思うようにならないから やりたいことがまたできる”確かにモノは考えようですよ
ね。さびしい夜の街の表情が彼独特の表現で歌われた「8.夜がたまる」。このタイトルひとつにしたって、すごく感じ入るものがあ
りますよね。日本語が通じないからこその関係のほうが逆に余計なものがなくていいってこともあります。「9.話せないことが」
まさにそんな曲。ささやかな愛を歌った「10.小さな声で話そ」がまた染みてくる曲なんですよ。相変わらず「いつも想ってるっての
は無理だけど」ってところが彼らしいけど(笑)相手を思いやる気持ちって、大々的なものではなくてきっとこんなささやかさの中に
あるんだろうな。夢の中だけは誰にも遮られることのない境地ですよね。本来の自分にも戻れるし。そんな夢の中を歌った「11.
メリーゴーランド」にて今作は終演。バリバリのエレキサウンドもいいけど、やっぱり彼には柔らかいアコギの音色が似合うなあ。

SION TOPぺージヘ