ソロ 6thアルバム
「うつろひ」

1981年6月25日発売

1. 住所録   5. 肖像画   9. 黄昏迄
2. 鳥辺野   6. 昔物語   10.小夜曲
3. 第三者   7. 明日檜    
4. 邪馬臺   8. 分岐点    
 
 このアルバムジャケットでは、まさにさださんの姿がぼやけて、”うつろい”を演出してるように見えます。でも間違
えないでください。容疑者じゃありません。さだまさしさんです(笑)。しかしよくもまあ三文字熟語のタイトルを10曲も
集めたものです。「1.住所録」はもう会うことのできない人に自分が成りすまして自分宛に手紙を送ったり、出るは
ずのない相手に電話をかけたり・・・そしてただ寂しさしか残らない主人公を描いた曲。「2.鳥辺野」は、京都の鳥辺
野での情景をすれ違ってゆく恋人たちに重ねて歌われた悲しい楽曲。「3.第三者」はワルツ調のメロディーにのせ
て繰り広げられる恋人たちの離別劇。確かに恋愛は宗教に似てるかも。同じものを信じていたはずのふたりが、あ
る日を境に異教徒になってしまうんだからね。「4.邪馬臺」は、逝ってしまった邪馬臺国の研究家に向けて歌われた
レクイエム。「5.肖像画」は、今まで自分本位で歩いてきた男が、実は自分を形成してるのは自分自身だけじゃなく
自分以上に大切な人がいたんだと気づく物語。なんかこの盤は”グレープ”の匂いがするなあ。「6.昔物語」は学生
の頃いつも一緒に過ごした男2女1の三人組の想い出とその後が綴られた楽曲。なんとも奇妙な三人組だけど、こ
んな風に年をとってみたいですよね。「7.明日檜」はこの盤でもっともダークな雰囲気の漂う悲しい曲。イコールボク
のもっとも心に染み込んで来た楽曲でもあるのですが(笑)。愛してはいけない人を愛してしまった女性。自分の本
音だけで生きるほど器用でなく、その愛で幸せになることなど決してない。でもそれでも愛してゆきたい。たとえ明日
や幸せがまったく見えない愛だとしても・・・う〜む、またも胸を貫かれます。「8.分岐点」は一転ポップなラブソング。
昔自分と別れたくせに、恋に破れるたびに自分を呼び出してやけ食いに付き合わせる彼女を歌った軽快な楽曲。
「9.黄昏迄」は、一緒に老いていこうと誓い合っていた連れ合いの突然の死により、ひとりぼっちになってしまった男
心を海に向けて歌われた楽曲。「10.小夜曲」は、無限に広がる広大な夜空に向けて想いを歌ったバラード曲。全編
にわたって綺麗な霞がかった印象を受けるのは、やはりこのジャケット写真の影響が大きいのかもしれないなあ。

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