ソロ 8thアルバム
「風のおもかげ」

1983年11月30日発売

1. 向い風   6. CONGRATULATIONS
2. 上海物語   7. 孤独(ソリティア)
3. 安曇野   8. 転校生(ちょっとピンボケ)
4. 甲子園   9. 津軽
5. あこがれの雲南   10.祈り
 
 タバコとさだまさし・・・このアルバムにはそんな印象が強いのです。まあジャケットに映ってるほとんどの写真でさださんが
タバコを手にしてるからなのかも(笑)。「1.向い風」は、あなたがもし太陽なら、私はただ染められる雲のような存在だとして
も、ただあなたの隣でいるだけでいい・・・たとえあなたに他に好きな人がいるのだとしても。そんな女性の切ない心情が伝わ
ってくる楽曲。「2.上海物語」はいつもオシャレで最先端を行くような印象を受ける上海という街で展開される物語。けどここ
はとても悲しい背景を持つ場所だったんですね。「3.安曇野」はとにかく切ないまでのイントロのメロディーが印象的な楽曲。
夢を叶えるためにはこの町を出なきゃ・・・そうやって自分の町を出て行って見事夢を叶えた人ってほんのひとにぎりなんだ
ろうなと考えるととても悲しくなってくる曲。「4.甲子園」は喫茶店のテレビに映し出される高校野球を観ながら、恋人とのこれ
からに思いをはせる歌。こういう心理描写ってホントにうまいよなあ、さださんは。「5.あこがれの雲南」は、最後の楽園といわ
れた中国・雲南省の美しい風景に思いをはせた曲。旅するたびにその場所で歌を作る・・・さださんはまさに吟遊詩人のよう
な歌手です。行ってみたいなあ、雲南。ウッチャンナンチャンじゃありませんよ(笑)。「6.CONGRATULATIONS」は、仲間の
誰もが憧れたあの娘がどこぞの馬の骨にとられちゃったって話をコミカルかつ温かく歌い上げた楽曲。結婚式の最中に旦
那のキャンセル待ちの順番をあみだくじで決めつつも(笑)彼女が幸せになってくれるのなら、みんなそれが一番!・・・ホント
あったかい。「7.孤独」は、もういなくなってしまった愛すべき人を想いながらも、想い出が染みついたこの町を出て行こうと決
めたとたんに、部屋に残した愛すべき人の痕跡すべてが愛おしくなる女性の心情を綴った曲。「8.転校生」は、さえない僕を
選んでくれた可愛い転校生君はまた来たバスで去っていってしまった・・・微笑ましいんだけど悲しみが残る不思議な曲です。
「9.津軽」は、彼が幼い頃から苦手としていた東北地方をテーマにしたという初めての楽曲。確かにとにかく寒い地方っていう
のは、南の人間からしたら暗く沈んだ街に映るかもしれない。でも、だからこそ南にいては感じることのできない暖かさもその
街々は持っている気がします。「10.祈り」は、生きてる誰もができる”祈り”というテーマを壮大で優しいメロディーにのせて綴っ
たバラード曲。人は生まれた時にもっていたあふれるほどの愛を見失ってゆく。けれど生命がいとも簡単に扱われる時、人の
想いは”祈り”となって、ふたたび愛を見つめ直す・・・そう考えるとこの盤のタイトルの意味も朧げながらわかる気がします。

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