ソロ 13thアルバム
「風待通りの人々」

1988年7月25日発売

1. 夢と呼んではいけない〜星屑倶楽部     5. 花の色     9. Bye Bye Guitar
2. ふきのとうのうた     6. 勇気を出して     10.少年達の樹
3. 初雪の頃     7. 普通の人々     11.ONLY 〜薔薇園〜
4. 十七歳の町     8. 凛憧(りんどう)      
 
 『夢回帰線』から少しさださんの作風に柔らかさみたいなものが加わった気がするのです。このアルバムにもその柔らかさが
エッセンスとして十二分に仕込まれている気がするな(笑)。「1.夢と呼んではいけない〜星屑倶楽部」は2曲から成り立ってい
る組曲。それは夢ではなく約束。がむしゃらに何かに向かっていくのも大切なことだけど、時には時の流れを待つっていうのも
必要なんだよね。「2.ふきのとうのうた」は郷愁感あふれるメロディーアレンジにのせた短篇。ふきのとうを見るたびに”君”を思
い出す・・・感慨深い曲。続く「3.初雪の頃」は田舎から都会へ出てきてがんばっている若者を描いた曲。前奏や間奏に使われ
ているハーモニカが優しいようでいて心のさびしさをも表しているような気もしてジーンとしてしまいます。人ってこうやって強くな
っていくものなのかもなあ。「4.十七歳の町」は、かつて愛した彼女に再会してしまうドタバタ劇・・・なんだけどなぜか温かさを感
じる曲。エレベーターから出てきた元彼女が花嫁衣裳で手を差し伸べてきて・・・やっぱり女性は男性よりも広い心を持ってい
る・・・っていうか、男の心なんて小さい小さい!(笑)「5.花の色」は今までのこの盤のゆるい雰囲気を一気に引き締めるほどの
さださんらしい別れの曲。季節はいつも花の色を変えていくのと同時に人の心をも変えてゆく・・・のだろうか?「6.勇気を出して
は”いくら自分が孤独だと思っていても、きっと誰かがあなたを見つめてくれているよ”というテーマで歌われた楽曲。「7.普通
の人々」は3曲目「初雪の頃」と同じテーマを歌ってるともとれる曲だけど、かなりひねくれてる気がする(笑)。シリアスで不安定
な曲調が、そのまま主人公の心の不安定さを示してる気がする。「8.凛憧」はどんな時も涙を見せなかった父がたった一度だけ
見せた涙をテーマにした切ないバラード曲。何気ない時に出た涙・・・きっと自分で制御することができない涙だったんだろうな。
「9.Bye Bye Guitar」はあるギタリストへのレクイエム。「セロ弾きのゴーシュ」のギター版とも言うべき曲かな?「10.少年達の樹」
はかつて子供たちがみんなして登った木を思い起こす曲。今じゃ木に登る子供ってなかなか見かけない。登る前に「危ない」と
大人に注意されちゃうからかな。その大人の目をかいくぐって登るのがまた木登りの醍醐味だったりするんだけどね(笑)。「11.
ONLY」はたったひとりを愛しぬこうと決めた女性の心情が綴られたバラード曲。自分は”あの人”を愛するために生まれてきた
・・・そう思える人に出逢えた人って、それだけで幸せな気がするんですよね。そこで自分が生きる意味を得たわけだから。

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