ソロ 2ndアルバム
「風見鶏」

1977年7月25日発売

1. 最終案内   6. セロ弾きのゴーシュ
2. つゆのあとさき   7. もうひとつの雨やどり
3. 飛梅   8. 吸殻の風景
4. きみのふるさと   9. 桃花源
5. 思い出はゆりかご   10.晩鐘
 
 ジャケットの少女の絵が強烈に印象に残る2ndアルバム。今にも雨が降り出しそうな薄暗い空と風がなびく草原。そ
こにただひとりうつむいてたたずむ少女・・・なんだかすごく暗い気持ちになってしまう絵ですがやはりいいものはいい
(笑)。「1.最終案内」は空港での最愛の人との別れのシーンを歌った楽曲。メロディーだけ聴けば心温まるような印象
を受ける曲だけど、ひとたび歌が入れば・・・。「2.つゆのあとさき」は恋人との別れを卒業式に見立てて描いた離別の
歌。めぐり逢った時もこうして離れてゆく時も君は花びらの中だった・・・う〜む、歌声は伸びやかなれど、悲しい歌だ。
「3.飛梅」は太宰府天満宮の菅原道真公の飛梅伝説になぞらえて歌われた、終わってしまった恋の回顧録。なんだか
悲しい歌ばかりだなあ、このアルバムは(笑)。そんな雰囲気を一気に吹き飛ばすかのような「4.きみのふるさと」は、好
きな君の生まれ育った街へ君への自分の想いを確かめに行こう!という軽快かつどこかお調子者っぽい主人公が微
笑ましい一曲。「5.思い出はゆりかご」は、あなたとの思い出だけが私に許されたたったひとつのゆりかごなの・・・と彼
に想いを馳せる女性の心情を綴った楽曲。「6.セロ弾きのゴーシュ」はもうこの世にはいない”あなた”に向けて歌われ
た、「精霊流し」の流れを受け継ぐ曲。彼が残したのは一生懸命すがるように弾いていたこのセロと思い出だった・・・。
「7.もうひとつの雨やどり」は、シングルでヒットした「雨やどり」のメロディーをそのままに、コミカルさをおさえ、とても純
情で引っ込み思案で地味な女の子のお話に仕立て直しています。う〜む、ここら辺に彼の懐の深さを感じてしまうんで
すよ。「8.吸殻の風景」は軽快なサウンドにのせて歌われた、若き日の友人の女性に久しぶりに会った出来事をそのま
ま歌にしてるポップな一曲。「9.桃花源」は”桃源郷”の意。劉家昌という人の曲にさださんが詞をつけて歌った、理想郷
がそこには広がっています。ただその理想郷とは何事もない平凡に過ごせることを意味しているんでしょう。「10.晩鐘」
は数あるさださんの別離ソングの中でも屈指の名曲。”次の信号機まで歩いたら別れよう”と約束したふたりの、次の
信号機までの心の機微と、周辺の雰囲気がこちらにまではっきりと伝わってきます。以上全10曲、前作にも増して、さ
だまさしの個性というものが十二分に刷り込まれたような一枚です。若いのに当時から深いよなあ・・・。

さだまさし TOPページへ