ソロ 11thアルバム
「自分症候群」

1985年12月21日発売

1. 風が伝えた愛の唄     5. Bye Bye Blue Bird     9. 長崎BREEZE
2. サイボーグ・サイボーグ     6. Final Count Down     10.草枕
3. 沈吟(ピアニッシモ)     7. ねこ背のたぬき     11.夢一匁
4. 8つ目の青春     8. 上海小夜曲     12.もーひとつの恋愛症候群
 
 実はこのアルバム、さださんのキャリアの中で最も曲のバラエティに富んでるなって思う一枚なのです。そして人間の温かさ、う
れしさ、悲しさ、つらさが詰まった名盤だと強く感じます。「1.風が伝えた愛の唄」はピアノ主体でボーカルを全面に押し出した優しい
楽曲。歌って本来、売れる売れないなんてつまらないものさしなど必要とせず、人の心の中に不滅なものとして残ってゆくものなん
ですよね。「2.サイボーグ・サイボーグ」は無機質なリズムを背に、世の中の人々がだんだんアルミニウム製のサイボーグになって
ゆくんじゃないかって危惧を歌にした作品。世の中のマニュアルにのっとって人々は生きてゆく。でもそれだけでホントにいいの?
「3.沈吟」は、自分とは不釣合いな高嶺の花に恋をした男のつらい心情を歌った曲。静かに口ずさむ恋でいい・・・この微妙なバラ
ンスがさだ作品の魅力です。「4. 8つ目の青春」は、失恋のたびにバイク、乗用車、2トン車と、大きな車に乗るために免許を取り直
すという(笑)先輩を後輩の視点から歌ったコミカルな楽曲。青春時代のほろ苦さも感じつつも、心がぽっと温かくなる歌です。「5.
Bye Bye Blue Bird」は、昔愛した人を”青い鳥”に見立てて描かれた女性の切ない心情を歌った作品。あなたの幸せを願いたい。
でもできることならずっとあなたの止まり木でいたかった・・・。「6.Final Count Down」は、アップテンポで「若いな〜」っていう音作り
に感心しちゃうラブソング(笑)。「7.ねこ背のたぬき」はレコーディングスタジオで偶然作られた(笑)即興曲。ねこ背のたぬきがおこ
ぜの刺身でお腹にあたった・・・何だ?この曲(笑)。「8.上海小夜曲」はなが〜い前奏が印象に残る曲。さださんって上海大好きな
んですね。上海のこと歌った曲けっこうありますもんね。「9.長崎BREEZE」は、故郷に帰った時に偶然出会ったかつて愛した人との
情景を描いた作品。彼女は子供を連れていた・・・彼の歌らしからぬつぶやくような低音ボーカルが、時の流れの無情さを伝えてき
ます。「10.草枕」はさだ作品の中で1、2を争うほど好きな・・・というより泣きそうになる作品。人生は坂道を歩くようなもの。たとえど
こで立ち止まろうが生きているかぎりそこは終着点ではなく坂の途中なんだ・・・メロディー、ボーカル、演奏、すべてが三位一体で
襲いかかってくる名曲。生きていればもちろん悲しいこともある。でもその悲しみの数だけを数えちゃいけないよ、と優しく歌った「11.
夢一匁」は、生まれ来る生命には必ず父と母がいるんだっていうことを思い出させてくれる歌。シングル「恋愛症候群」のアナザー
サイド「12.もーひとつの恋愛症候群」は、その症例をコミカルに長々と(笑)説きながら、恋愛に関するさださんの見識をそのまま歌
にしたライブ作品。「あなたに出会えて心からしあわせです」・・・確かにこの一言に尽きるよね、恋愛、そして人間の素晴らしさって。

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