彼の生前に発表された最後のオリジナルアルバム。「村下音楽とコンピュータサウンドの融合」という
とすごく試験的な感じに聴こえますが、やっぱり村下さんのよさが十二分に発揮されてるアルバムです。
「1.だめですか?」はイントロからもう切ないです。一途な女性の悲しいまでの心を歌った名曲。「2.りん
ごでもいっしょに」は裕木奈江さんへの提供曲をセルフカバー。1曲目とは逆パターンで、一緒にいる愛
すべき人と歩いてゆこうっていうテーマだけど、なぜか切なさが残るなあ(笑)。「3.つれてって」はまさに
”打ちこみサウンド”。でも歌はふたりで生きてゆきたいという、かなわぬ夢を見つづける女の独り言。「4.
帽子」は年賀状に書かれた文字を見て、懐かしき恋を思いだし想いを馳せる楽曲。なんともセンチメン
タルな一曲です。「5.しゃぼん玉」はこのアルバムのタイトル「愛されるために」がテーマ。「本当にほしい
ものは どうして手を伸ばしても 届かない」というフレーズが心に突き刺さります。その想いはまるで空
に高くあがってゆくほど弱くなるしゃぼん玉のようだと歌っています。「6.君には勝てない」は再び打ちこ
みサウンド。おそらくこのアルバムの中で一番明るく、幸せな歌。どんな問題も、君が笑えばそれで解決
・・・う〜ん真理かもしれない(笑)。「7.結婚式」は花嫁姿の女性をレンズ越しに追いかけてる男の心情
を歌った歌。だけどこの人はあくまで祝福しているんであって、変な感情で追いかけてるのではないので
誤解しないように!(笑)「8.眉」は80年代の村下サウンドを思い起こさせる楽曲。別れて初めて気づく自
分にとっての彼女の重要性。思いと逆のことをすれば眉がピクリと動く彼女を忘れられない男の哀歌。
「9.あゆみ」は、彼女との別れの瞬間を切り取ったバラード曲。だけど別れを決めたのは自分だけど彼
女のことは忘れない・・・っていう男の葛藤を歌っています。「10.幸せの鍵」は誰かを幸せにできるのだろ
うか?という思いは捨てて、自分が幸せになれば、それは誰かを幸せにしてることなんだと歌う心優しき
楽曲。生前最後のオリジナルですが、並んだ曲たちは心に愛の優しさと哀しみをくれる最高の10篇です。
13thアルバム 
「愛されるために」

1994.7.1

 
 
1. だめですか?
2. りんごでもいっしょに
3. つれてって
4. 帽子
5. しゃぼん玉
6. 君には勝てない
7. 結婚式
8. 眉
9. あゆみ
10.幸せの鍵
 
 
 
 

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