7thアルバム

「生きていてもいいですか」

1980年4月5日発売

 
 タイトルやジャケット写真からもわかるように、このアルバムは彼女の全アルバムの中で一番暗い。という
か、反対に言えば誰もが言いたくても、あるいは歌いたくとも歌えなかった人間の「本性」について歌われた
アルバムであると思う。彼女が「暗い」というイメージを植えつけてしまった感のある「1.うらみ・ます」では男に
裏切られ続ける女を描いている。しかしそれを癒すように「2.泣きたい夜に」では優しく包みこむような歌を歌
っている。ただ単に「うらみ節」なのではなく、2曲でひとつの「作品」になっていると思うんだけどな。一転、目
の前が開けるような明るい曲調の「3.キツネ狩りの歌」ではメルヘンチックだが実は裏切り裏切られる人間界
の悲しさを歌っている(ような気がする)。静かにささやくように歌われている「4.蕎麦屋」では何気ない日常の
中に「自分の生きてる意味」を見出し、「5.船を出すのなら九月」では人の心の移ろいやすさを描いている。そ
れにしても難解な例え方である(苦笑)。題名のない6曲目を終えたあと、このアルバムの主題曲となる「7.エ
レーン」が登場する。「一体自分はこの世界に生きていていいのかどうか」なんてこの曲を聴くまで考えたこと
もなかったが、このエレーンという女性が何をこの世に残していったのか、感慨深さが残る一曲である。ラスト
「8.異国」はまさに帰る所のない女性の悲しさ、はかなさを歌っている8分を越す大曲。怒涛のサビ5回リフレイ
ンは圧巻である。まだの方はどうかお試しあれ(笑)。(詳しくは「このアルバムを聴け!」まで飛んでください)

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