11thアルバム
「はじめまして」

1984年10月24日発売

1. 僕は青い鳥   6. 不良
2. 幸福論   7. シニカルムーン
3. ひとり   8. 春までなんぼ
4. 生まれた時から   9. 僕たちの将来
5. 彼女によろしく   10.はじめまして
 
 このアルバムはタイトル通り、前作「予感」と比べると明らかに新しい何かを感じる。「恋に破れた女性像」を歌って
いる曲は確かにあるのだが、「僕」が主人公となっている楽曲が多い。それから演奏もすごくドラマティックな展開を迎
える曲も多い。「1.僕は青い鳥」は晴れやかなピアノから始まるが、聴いた後に寂しさを感じる曲。かなりボク好みの曲
だ。一転「2.幸福論」はロックチューン。人は実は他人の悲しみを密かに笑っている、という内容の告白にも似た歌。
3.ひとり」はシングルだが、シングル版よりもグッとスピードを落として、詞を聴かせる趣を感じさせる。明日から一人き
りになってしまう女性の切なさを気丈に歌う。「4.生まれた時から」はブルースだ。彼の素面の顔を見たことのない彼女
は、彼は憧れの彼女には素面で接していたという話を聞き・・・。切ない女心だ。「5.彼女によろしく」はまたまたボク好
みの「明るい曲調ながら聴いた後にさびしさに襲われる」(笑)楽曲。しかし彼女の表現豊かだなあ、と感心してしまう。
「6.不良」はタイトル通り荒れた曲(笑)。「1たす1は今夜も1にはなれないね〜」・・・言いえて妙!「7.シニカルムーン」
グッと落ち着きのあるボーカルを聴くことのできる不思議な雰囲気を持つ曲。「8.春までなんぼ」は超大作。わざと音程
を崩したやる気のない歌声(失礼!(笑))が、さらに大きな印象をリスナーに植え付ける。「いらない鳥を逃がしてあげ
た 逃がしてすぐに野良猫食べた〜」・・・うーん独特の世界観!(笑)「9.僕たちの将来」を聴くと、浜田省吾の「僕と彼
女と週末に」という曲を思い出す。彼氏と彼女の何気ない会話から、決して楽観視できない未来をやるせなさいっぱい
に歌っている。最後のカウントダウンが戦争を思い起こさせる。ラストの「10.はじめまして」は逆にサラリと歌われてい
るポップチューン。しかし心音のような音が、この世界すべての人々に何かを訴えているような余韻を残す。なぜかコ
ンパクトな印象をもつアルバムなのですが、見事に彼女の個性は息づいているアルバムでもあるのです。

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