14thアルバム

「36.5℃」

1986年11月12日発売

1. あたいの夏休み   6. やまねこ
2. 最悪   7. HALF
3. F.O.   8. 見返り美人
4. 毒をんな   9. 白鳥の歌が聴こえる
5. シーサイド・コーポラス    
   
 前作「Miss M.」で見られたデジタルロックサウンドをさらに追求したまさに「ロックアルバム」と呼ぶにふさわしい出
来のオリジナルアルバムである。またこれまでとは違い、シングルが3曲も収録されていることから、この時期のシ
ングルはかなりアルバムを見据えて作られたのではないかと思える。タイトルの「36.5℃」とは人間の平熱体温。
つまり「私はちっとも変わってないわよ」というようなメッセージを含んでいるのだろうか。しかしそれとは裏腹に1曲
目の「1.あたいの夏休み」から早速先制パンチをくらった(笑)。彼女の「夏休み観」には納得(できてしまうのが悲
しい(苦笑))。続く「2.最悪」ではダイナミックなアレンジが施され、「これが中島みゆきの音楽か?」と思えるほどの
インパクトを受ける。それは「3.F.O」にも言えるが、歌われている内容は間違いなく彼女の世界だ。「4.毒をんな」
男たちを弄んだ女の悲しさが充ちている。唯一本当に好きだった男からの誘いも、「こんなあたしじゃ・・・」と断って
しまう女の悲しさ。他の人には書けないなあ、きっと。「5.シーサイド・コーポラス」はデジタルサウンドで彩られたこの
アルバムのオアシス的存在。そのアコースティックさが心に安らぎをくれるから不思議である。以前はこれが中島
みゆきの中心だったのにね。再び「6.やまねこ」からデジタル復活(笑)。「女って怖いなあ・・・」正直そんな印象を受
けてしまった曲。「7.HALF」はやさしいメロディーに乗せてすれ違ってしまった彼のことを思い出してしまう女性の切
ないバラードだが、不思議と普遍性を感じる。「8.見返り美人」はドラマティックなイントロが印象的なロックチューン。
「アヴェマリアでも呟きながら〜」というサビの部分がなぜか印象に残る曲。さみしさから八方美人になってしまう美
人・・・結局は美人だ(笑)。最後を飾るのは「9.白鳥の歌が聴こえる」。とてもムーディーな歌声に心をくすぐられる。
おかげで間奏が耳から離れなくなってしまった(笑)。かくしてかなりの変貌を感じたこのアルバムでありますが、あ
と一曲あったらバランスがもっと取れたんでは?と思ってしまったアルバムでもあった(←個人的にですが・・・)。

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