当時、日本のポップス界には「ガールズ・ポップ」なる現象が起きていた。要するに若い女の子の歌手に人気が集まってたんだな。 |
しかもアイドルとは違う、別の意味での「若手女性アーティスト」である。森高千里、谷村由実、加藤いづみ・・・そして彼女。彼女もファ |
ーストアルバムまでは、比較的大衆的というか、ニューミュージックを彩った作家陣の作った楽曲を作っていたけど、この2ndアルバム |
からは全て自分で作詞・作曲し、それらのアーティストとは一線を画して行った。尾崎豊、浜田省吾、村下孝蔵、小山卓司をはじめ、 |
そのアーティストの個性を最大限に引き出してきたプロデューサー・須藤晃氏とともに、その彼女の世界はこの2ndアルバムから広がっ |
ていったといっても過言ではない。 |
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橘いずみ |
「どんなに打ちのめされても」 |
(1993年4月1日発売・全10曲) |
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楽曲にこの手のタイトルをつけるのはわかるけど、アルバムタイトルにこんなストレートなものをつけてしまうところが彼女の魅力でも |
ある。それが逆に彼女の素の言葉として出てきたという事なのか?さて・・・ |
全曲紹介といきましょかい! |
(曲目に下線が引いてある曲はアポロライブラリーで紹介しています。) |
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1. 打ちのめされて |
自分が正しいと思ってた答えは世の中の正解とは違ってた。 |
それでも前に進んでいかなくちゃ、という力強い一歩を感じる |
ロックチューン。いったいいつになったらゴールに辿りつけるの |
か?幕開けにふさわしいサウンドが胸に響きます。 |
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2. 東京発 |
東京に出てきて、今までの自分と訣別して、まっさらになって |
一からやり直したいっていう、一歩足を踏み出した女性の心情を |
ポップなサウンドで綴った楽曲。頼れるのは自分だけ、今までイ |
ヤだった自分から生まれ変ろうとする強い意志を感じます。 |
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3. 失格 |
彼女が世間にその存在を知らしめたパンチのあるシングル曲。 |
ボクも初めてこの曲を聴いた時、頭をガツーンとやられた気がし |
ました(笑)。自分のホントの心をここまで赤裸々に告白した女性 |
の詞って今まで見たことがありません。「あなたは失格!そうはっ |
きり言われたい 生きる資格がないなんて憧れてた生き方♪」 |
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4.
富良野 |
女性二人の傷心旅行を歌ったバラード曲。ボクは傷心旅行とや |
らに行ったことも女性になったこともないので(←あたりめ〜だ) |
よくわかりませんが、きっとこういうものなのでしょうね。しかも場所 |
が「北海道・富良野」ってとこが何かいいんですよねえ。 |
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5. 愛してる |
「人を好きになることで人は生きてゆける」って言いますが、この |
楽曲を聴けば、それが納得できてしまいます(笑)。それほど情感 |
のこもったバラードです。「手に入らないものなど そう多くはないの |
に 何故だか手に入らない 心から愛してる♪」・・・名フレーズ! |
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6. また かけるから |
ほんとにたわいのない愛する人との電話ごしでの会話。だけど何 |
の変哲もないその会話が、この曲の主人公には命綱なのです。自 |
分の不安を告白しながらも、相手に心配かけぬように「全部嘘なの |
よ」という健気な女性。ちょっとコミカルな彼女のセカンドシングル! |
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7.
オールファイト |
バスケットボールを通して通じ合った青春を歌った曲。結果も大事 |
だけど、その結果に辿り着くまでにどれだけがんばったかなんです |
よね。このチームは努力を少し怠ってたようですが(笑)。でも学生 |
時代のたわいのないことって、今ではすごく貴重なものに思えます。 |
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8. ごみ |
彼女の真骨頂というか、隠れた代表曲だと思います。自分は彼に |
とっていてもいなくてもいい存在。でも私には彼は、いなければ地球 |
がひっくり返ってしまうほど大事な存在。そんな切ない心情を優しい |
アコースティックをバックに歌い上げた名曲中の名曲です。 |
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9.
ジュエル |
すごく当時の女の子の風潮を皮肉った楽曲だと思います。「見栄を |
張る」って行為はボクにはよくわからないんですけど(笑)、やっぱり |
「ボロは着てても小指にダイヤ」なんですかねえ?(笑)でも最後の |
「手をつなぎ 靴を鳴らして 丘を越えて 部屋に帰ろう」が救いです。 |
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10.がんばれ、なまけもの |
人を動物に例える歌はエコーズの「ZOO」という曲が有名ですが、こ |
の曲は橘版「ZOO」といえるんじゃないかな。でもこの曲を聴いてると |
不思議と元気が出てくるんですよね。やっぱりボクもなまけものだから |
かな?(笑)ラストを飾るにふさわしい、彼女らしい応援歌。でもそれは |
彼女自身に対しても歌われているんじゃないかな?とも思いました。 |
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ジャケットを見てもらってもわかる通り、最初「男の子じゃないの?」と思ってしまうほど、当時の彼女はボーイッシュでした。でも |
このアルバムに歌われている楽曲はレッキとした「女心」です。このあとのアルバムからその世界はますます広がっていきますが |
まず彼女に興味を持たれた方は、このアルバムをお聴きになることをオススメします。きっと彼女の魂を感じることができますよ! |
(02.6.22)
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