5thアルバム

「時代は僕らに雨を降らしてる」
1982年9月1日
1. 時代は僕らに雨を降らしてる   6. 18インチの罠
2. どしゃぶり Rainy Day      7. 晴れのち曇り時々雨
3. 交差点   8. 夢破れて
4. 愛してるのに   9. 青春は手品師
5. ローディー   10.マリア
 前作『Bye Bye』以上にジャンルに富んだ曲たちが収録された5thアルバム。タイトル曲である「1.時代は僕らに雨を降ら
してる」は「これからは俺たちの時代だ」ということを歌った曲。でも言い換えればもう俺たちは言い訳はできないんだよっ
ていう覚悟の歌のようにも聴こえますね。ポップな「2.どしゃぶり Rainy Day」は、彼のこの時期独特の”激しい”ラブソング
(笑)。後世に受け継がれるべき名曲「3.交差点」は、信号が変わったら別れていかなければならない恋人たちの情景を
綴った作品。彼は彼女との時間の中で自分がいかに彼女を縛ってしまったかを悔やみ、回想します。彼と彼女はこの後
別れていってしまったのでしょうか?それとも・・・。「4.愛してるのに」は『交差点』同様、彼のバラードを代表する楽曲。こ
の夜が終わってしまったら、もう君と僕は別々の道を歩いてゆかなくてはいけないんだね・・・別れの歌ばかりだな(笑)。
もう会えないという想いがゆえに彼女への気持ちが大きくなってゆく男の心情が切ないですね。「5.ローディー」は、まさに
自分のコンサートを支えてくれているクルーに向けて歌われた楽曲。まだ見えぬゴールへの旅から旅・・・さぞや淋しさが
募るのでしょうね。「6. 18インチの罠」田舎から歌手を夢見て都会へやってきた少女が目の当たりにした裏切りや悲し
みが切々と歌われています。詞は彼と松井五郎さんの共作でもちろんフィクションなのでしょうが、昭和の時代にはきっと
こうやって悲しみに暮れて、そして大人になっていた女性ってたくさんいたんでしょうね。「7.晴れのち曇り時々雨」は軽快
なメロディにのせて片想いの女性の心情が綴られたラブソング。「8.夢破れて」ハーモニカとギター一本で勝負する硬
派な曲。夢に破れた親友を見つめる男の目に映ったものは・・・心に染み渡る一編がここに。「9.青春は手品師」は阿久
悠氏との詞のコラボレーション。彼も出演したTVドラマ「王貞治物語」の挿入歌。くちびるを結べば笑えない。だけども嘆
きも語れない。くちびるを開けば怒れない。だけども思いが歌になるんだ。ラストを飾る美しいコーラスワークが印象深い
「10.マリア」は悲しみも嘆きもすべてを包み込む、地上に降り立った女性を歌った楽曲。一曲目の「時代は僕らに〜」の
アンサーソングのような気もします。この地上に生まれた幾千もの悲しみを救ってくれるような、そんな優しさに満ちた歌。

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