ソロ 15thアルバム
「夢ばかりみていた」

1990年2月25日発売

1. 夢ばかりみていた     5. 十六夜 (いざよい)     9. 冬の蝉
2. 1989年 渋滞 (ラッシュ)     6. 破     10.赤い靴
3. 修羅の如く     7. デイジー      
4. 初恋     8. せっせっせ      
 
 夢を持つってすごいことだなと、常日頃から思っています。夢を持つには今の現状を打破する精神力が絶対に必要なのだから。タイトル
「1.夢ばかりみていた」は美しいストリングスに彩られた曲。大人になっても子供の頃の夢を見つづけられる人ってホントにすごいと思う。
逆に言えばボクの想像力がだんだん衰えてきたってことなのかな?(笑)ポップな曲調にのせて歌われた「2.1989年 渋滞」は「歌で世界は
変わらないけれど 自分だけは変わらずにいられるから」っていうフレーズが印象的。きっと歌手は自分の作品を歌うだけで、その歌を作
った頃に気持ちまで戻れるんだろうな。歌=Not 消耗品っていうことなんだよね、きっと。「3.修羅の如く」は本来男とは、女とはこうあるべ
きだという彼なりの人生観を綴った曲。タイトルから連想するに激しい曲だろうと思いきや、優しさに包み込まれるような雄大な曲に仕上が
っています。確かに人が生まれる時に男と女に別れてしまうところから悲しみが始まるっていうのは、わかる気がするなあ。学生時代、い
つも小さな公園で見かけた初恋の人に想いを馳せた「4.初恋」は、なんだか甘酸っぱい気持ちになる優しい楽曲。「彼は今どこで何をして
るんだろう?」・・・恋しかった人の今がわからないからこそ、その想いはガラス細工のように綺麗に昇華されてゆくのでしょうね。「5.十六夜」
は何年経っても変わらぬ関係を持つ悪友たちとのキャンプでの酒を酌み交わすシーンをコミカルに温かく綴った曲。男友達同士で酒を飲
むと、どうしてああも子供のような顔になってしまうんだろ?(笑)「6.破」はまるでロック歌謡のようなアレンジに女性の恨み節をのせたさだ
作品にしては珍しい曲。彼のこの頃の代表作のひとつに挙げられる「7.デイジー」は、たとえこの恋が終わっても僕だけはいつまでも君の味
方だよ、という男の心情を歌った曲。そう、男はいつまで経っても想いを持ち続ける生きものなのさ!(笑)アコースティックギターの音色が
悲しい「8.せっせっせ」は逆に自分から離れていった男を想う女性の悲しみを綴った曲。「いつまでも君の味方」と歌う「デイジー」に対し、こ
の曲では「次にあなたが愛する人の指は離さないでね」と歌われてる。やはり男より女性の方が数段大人のような気がします。しかもいつま
でも追いつけそうにないほどに(笑)。もし生まれる時代が違っていたら、人はまるで違った人生を歩いてゆくのだろう・・・という壮大なテーマ
を掲げた「9.冬の蝉」は今作のクライマックスにふさわしい楽曲。もし自分が戦時中に生まれていたら・・・そう考えると今ここにいる自分がす
ごく不思議に思えます。いつの時代にどこで生まれるか・・・人はそれを選べない。やはり運命に翻弄される生きものなのだろうか。「10.赤
い靴」は彼の故郷ある長崎の坂道を舞台にした楽曲。優しいまなざしを持った君を愛していた。そしてまるで誰かに遠くへ連れ去られるん
じゃないかと思い悲しかった・・・そんな男の内面が歌われています。「夢」・・・まだまだ持てそうにないな。でもきっといつか持ってみたいな。

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