1stアルバム
「乾いた唄は魚の餌にちょうどいい」

2002年10月2日発売

 
 独特なタッチで描かれた彼の肖像と女性の乗ったロバ(?)のジャケットが印象的なメジャー・デビューアルバム。
「1.レスター」は生きてゆく意味を夕暮れに模索する青年の心情を綴った楽曲。ここで言う”レスター”というのは多
分”死者”という意味なんだろうな。自分の生の寿命を全うし天に召されたその人に、青年はひたすら静かに今日
も語りかけている・・・。「2.今日の日はさようなら」はワルツ調のメロディーで奏でられた楽曲。退屈でささくれだった
日々を、たとえそんな日でも無駄にしたくないと願う主人公の思いが伝わってきますね。「3.トニー・マイ・フレンド」
は幼き日に逝ってしまった友達を歌った楽曲。悲しいはずなんだけど、暗くないんだよな、この曲。たとえ友達が
死んだとしても塾へ行かなきゃいけない少年の現実と、死がどういうものかをあまり理解していない少年の未熟さ
が、逆に悲しくなってくる歌です。「4.いつかさらばさ」は、文字通り”どうせいつかこの世とおさらばするんだからさ”
と、妙に達観している青年が主人公。確かにそうはそうなんだけど、彼は本当の愛を知った時に、きっとこの世と
おさらばするということの残酷さを同時に知ることになるんだろうな。「5.さくら」はのちにシングル化され彼の名を
全国区に押し上げることになる名曲。ただしこのアルバムのこの曲はバンドサウンドで収められている。友との別
れの時、桜は散る運命を知ってか知らずか咲き誇る。それを人の生命と照らし合わせた時、涙しました・・・。「6.
陽は西から昇る」はつぶやくように歌い始める導入部が印象的な楽曲。昨日悲しいことがあったとしたって、今日
また誰にも気づかれないように陽は西から昇る。だから今日の愛を見つめて生きようよっていうメッセージを感じ
る歌。死の匂いが漂う楽曲が並ぶこの盤の最後がこの曲だっていうのが救いだなあって感じてしまいますね。

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