25thアルバム
「わたしの子供になりなさい」

1998年3月18日発売

1. わたしの子供になりなさい   6. 愛情物語
2. 下町の上、山の手の下   7. You don't know
3. 命の別名   8. 木曜の夜
4. 清流   9. 紅灯の海
5. 私たちは春の中で   10.4.2.3.
   
 静かなピアノソロとともに始まる「1.わたしの子供になりなさい」でこのアルバムは幕を開ける。この頃の彼女の
アルバムはその内容にとても「濃さ」を感じる。この曲はまるで男性を包み込むような女性の「広さ」を感じるバラ
ード曲。「2.下町の上、山の手の下」は一転、サックスが軽快なロックチューン。Jリーグで言うとJ1の最下位とJ2
の優勝チームの入れ替え戦みたいな感じ(どんなイメージだ(笑))。「3.命の別名」は賛否両論を巻き起こしたド
ラマ「聖者の行進」の主題歌だが、シングルと違い荒々しいボーカルとサスペンスな出だしが印象的。「4.清流」
その名の通り澄んだ水の流れを連想するが、勝ち負けにこだわる男を嘆いている歌。世の中平等だ(笑)。「5.私
たちは春の中で」はこのアルバムの中ではかなり好きなメロディーラインだ。ここで言われる「春」とはおそらく恋
人との時間のことであろう。かなり哀しい歌である。「6.愛情物語」は一体誰が歌ってるのか、と思ってしまうほど
異質の声であるが、正真正銘彼女である(笑)。愛するが故に離れる彼女・・・でも彼には何者も触れさせはしな
い・・・男から見ればちょっと恐怖を感じる(笑)。「7.You don't know」はしっとりとしたバラード。何気ない行動でも
好きな人からだったらとても意味のあるものに感じてしまう・・・わかるなあ(笑)。何度勘違いしたことか(苦笑)。
「8.木曜の夜」はアルバム中最もポップな楽曲。これだけ多くの人が街にはいるのに、どうしてあの人はいないの
だろう?かなり喋り声に近いボーカルで明るめの曲だけど、何とも言えない悲しさを感じてしまう。彼女はどうして
こうも海が似合うのだろう。そんなことを思い起こさせるバラード「9.紅灯の海」をはさんでラストは圧巻の「10. 4.2.
3」である。これは歌というよりも一種のメッセージである。「ペルー大使館占拠事件」を背景に「この国の危うさ」を
危惧している。そう、最近の日本人って日本人さえ良ければ後は・・・って風潮がものすごく多いような気がする。
デリカシーのなさ、「共生」の意味を考えさせられる10分を越す大曲である。最後の曲がこのアルバムの最大のポ
イントとなっている気がするなあ。こんなに具体的に表現された彼女の曲ってあまり聴いたことないもんなあ。

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