27thアルバム
「月-WINGS」

1999年11月3日発売

1. 1人で生まれて来たのだから   6. PAIN
2. 紅い河   7. 白菊
3. LAST SCENE   8. 時効
4. 女という商売   9. 愛から遠く離れて
5. SMILE, SMILE    
   
 彼女独特の舞台表現「夜会」での新曲として発表された楽曲をリアレンジして、「日-WINGS」と同日発表されたアル
バム。どちらかというと、こちらの方が比較的ダークなアルバムだ(笑)。「1.1人で生まれて来たのだから」は軽快な
リズムで始まる楽曲だが、「人はひとりで生きていくのは当たり前なのだから、元のひとりぼっちになってしまっても悲
しまないで」・・・という失恋歌。「2.紅い河」はこのオリエンタルなイントロが印象的。愛する人まで自分の想いが届いて
欲しいと切に願う歌。「3.LAST SCENE」はなんと6分半のうち3分過ぎまで歌が出てこず、彼女の気だるい(笑)スキャ
ットが延々と流れるという実験的な歌。「4.女という商売」はジャジーな旋律が印象的。あなたの声がSWEET POISON
だ!(笑)「5.SMILE, SMILE」はシングル「愛情物語」でも見られたような変声バージョン。一体彼女はいくつの歌声を
持っているのか疑いたくなるほどだ(笑)。「6.PAIN」は囁くような彼女の声が、やがては壮大に変わってゆくバラード。
「雨」というのは不思議な力を持っている。彼女はその「雨」に対してすがるように歌い続ける。それはあまりに切なく
悲しい・・・。そしてここからの3曲はアポロの心を串刺しにした強力ラインナップだ(笑)。「7.白菊」はまずこのようなイ
ントロがボクは大好きで、そしてメロディーもさすらいを感じさせる内容。「月」よ、冬を越えたら愛するあの人にもう一
度会わせて、そして「雪」よ、愛するあの人と別れる前の日にすべてを戻しておくれ・・・という切なる願いが力なく歌わ
れているのに感情移入してしまう。「8.時効」はこのアルバムの中で最もアッパーなロックサウンドで、「私たちは春の
中で」を彷彿とさせる。「誰も知らないことならば 何の罪にもなりはせず あとは時を味方につけるだけで許されたこ
とになる」・・・完全犯罪というわけだ(なんのこっちゃ?(笑))。この曲は「時」というものがすべてを許し、そしてすべて
を肯定するということを歌ってるような気がするな。そしてラストの「9.愛から遠く離れて」。何を隠そうこの盤で一番好き
な楽曲。全楽曲中、一番シンプルでやさしさを感じるこの曲がラストに来ていて本当に安心する。「一番好きな人がい
た 一番好きな私がいた いつか全ての思い出が遥かな海へと変わるから」・・・この曲の一番好きなフレーズです。

 

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