2ndアルバム
「みんな去ってしまった」

1976年10月25日発売

1. 雨が空を捨てる日は   7. 冬を待つ季節
2. 彼女の生き方   8. 夜風の中から
3. トラックにのせて   9. 03時
4. 流浪(さすらい)の詩   10.うそつきが好きよ
5. 真直な線   11.妬いてる訳じゃないけれど
6. 五才(いつつ)の頃   12.忘れられるものならば
 アルバム全体を通してみても、最も地味な印象を受けてしまうセカンド・アルバム。それはジャケットのせいだろ
うか。どちらかというと全編を通して「一般人と一線をひかれた人」について歌われている印象を持っている。悲し
げなイントロがいい「1.雨が空を捨てる日は」は比喩表現を多用して、彼女の悲しい心のうちを歌ってる。「2.彼女
の生き方」は後年に発表される「ふたりは」という曲に通じている。世間から疎まれてはいるものの、一本筋が通
っている女性の生き方。「3.トラックにのせて」はこのフレーズとメロディーにトリコにされてしまう劇的歌唱(笑)。
続く「4.流浪の詩」は街を転々とする、ペットの黒猫だけが頼りの女性を歌った曲。女性のさすらいを描いた2曲の
のち、「5.真直な線」はうねるエレキギターがシャウトし、それにつられてボーカルもうねる。「6.五才の頃」はやさし
いメロディーにのせて過去をふりかえる曲だが、大人になった彼女の悲しさが逆に胸にしみる。「7.冬を待つ季節」
は別れた彼の想い出をふりきって生きていこうとする女性につきまとう、彼を忘れられない心情が胸に突き刺さる。
シングル曲「8.夜風の中から」の悲しげなこのメロディーは、このアルバムの中でも最も好きである。続く「9.03時」
は悲しいすれ違いを描いた一曲だが、この旋律も悲しくて好きだなあ。「10.うそつきが好きよ」は軽快なサウンドに
のって繰り広げられる気ままな女性の歌。「酒が胸のメモ帳を破り捨ててくれるだろう」「牙の折れた手負い熊」あ
たりの歌詞に斬新さを感じた。「11.妬いてる訳じゃないけれど」は男に置いてけぼりをくらった女性のジェラシー歌。
ラストの「12.忘れられるものならば」はアルバム中最も壮大さと包容力を感じるバラード曲。「忘れられるものなら
ば〜」・・・というフレーズが、あきらめきれない女性の心を表しているなあ。以上12曲収録だが、ほぼ全曲が「夜」
を感じさせる歌である。そのことが「地味」という印象をいっそう強めているんじゃないかな(もちろんいい意味で)。

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