6年ぶりにリリースされた彼の3作目のアルバム。30歳を越えてからの作品なので、1、2作目に比 |
べてすごく作品的にも落ちつきが見られますね。「1.桜」は”あなたなしでも生きてゆける”ってフレーズ |
がすごく印象的。悲しくも大人になってしまったんだと、彼は受け入れたようにも感じます。「2.夜にとぶ |
」は人は誰ひとりとして、誰にもなれないわけだから、心ひとつだけ持ってればそれでいいと歌ってる。 |
20代の頃にはわからなかったことが、彼自身少しわかりかけてきたのかもしれませんね。この曲の雰 |
囲気、すごく好きですね。「3.月光」はスピード感あふれるメロディーに乗せて「愛ってなんだったっけ? |
」と歌ってる。前作までの彼からは絶対出ない表現です。6年の歳月の中で、何か吹っ切れたものを感 |
じますね。「4.深淵」は「愛」ってものに対して「救ってくれるんなら早く救ってくれ」と歌ってる。ここでも今 |
まで彼からは感じることが出来なかったものが伝わってくる。ロックンロールだなあ(笑)。「5.ふたり」は |
好きな人を愛するっていうことは、その人以上に自分がその人のことを知ることなんじゃないか?と表 |
現しています。「6.ノミとあいつ」はまた浮くような軽いメロディーでボソッと歌われた告白歌(笑)。「7.熱 |
帯魚の憂鬱」は文字通りサウンドが熱帯魚っぽい仕上がり!(笑)愛におびえている二人を歌ってる。 |
「8.春」は出会う人は必ず自分の前から消えていくものだと思いこんでいた主人公の青年が、愛すべき |
人に会って暮らし始めた時、自分はそれまでずっとひとりきりだったと知る、という歌。あったかいメロデ |
ィーの中になぜか哀しみを感じてしまう不思議な曲ですね。タイトル曲「9.裏」は、まさに心の”裏側”を歌 |
った楽曲。そこには装飾のない、おびえた心だけが広がっている。20代の頃の彼がまだここにもいた! |
(笑)「10.それから」は現時点の自分が過去の自分を試す。だけど現時点の自分だって、これから先の |
自分に試される時が来るんだ、と歌ってる。今の悩みなんて未来の自分から見たらちっぽけな悩みな |
のかもしれないな。このアルバムは前2作に比べ、すごく言葉を選んでる気がする。それはアーティスト |
としてすごい前進だと思うんです。次回作が早く聴きたいなあ、と早くも期待してしまいます!(笑) |