吉井和哉 3rd「VOLT」 2009.3.18
 
 はっきり言って「スピッツ」並みに難解だった(笑)前作『Humming〜』よりもっと遠くに行ってしまうんじゃないか?と
危惧していた不安も見事に払拭してくれた3rdアルバム。収録もスッキリ10曲。もちろん凝縮された彼らしい”濃い”
内容ですが(笑)。洋楽をあまり聴かないボクでも洋楽指向が強いな、と感じたシングル曲「1.ビルマニア」。何をど
こでどうするか・・・最終的にはその時の自分自身の魂に頼るしかないんですよね。一転ポップな「2.フロリダ」は彼
のプライベートソングとも言うべきご機嫌なR&R。元来のソロ作には見られなかったハジけ方してますよね〜。さら
にぶっとい重厚なブルース「3.ウォーキングマン」ではただ華やかな街並みを歩く男の姿が描かれていますが、みん
な笑顔の裏側に隠された悲しみを持っている、というメッセージを感じます。途中で挿入される独り言のようにつぶ
やくような部分がすごくいいアクセントになってるな。そしてサイケデリック色満開な、その名も「4.ノーパン」。曲にこ
んなタイトルつける歌手いねーぞ普通(笑)。つまりは虚飾されたくない、素のままの自分でいたいってことなんです
よね。裸のままタバコつけて火傷しないか心配だ(←余計(笑))。思わずイントロを聴いた瞬間「薔薇娼婦麗奈」
思い起こしてしまった「5.ヘヴンリー」は、自分の中では”これぞ吉井和哉”と思える内省的な作品。詩的な展開をみ
せる曲ですが、メロディーのよさも手伝ってとてもよく気持ちが伝わってくる歌ですね。最も前作の色が強いかな、と
思える「6.魔法使いジェニー」。決して「サリー」ではない(←蛇足(笑))。まあ彼の作品を聴く場合、あんまり堅苦しく
考えちゃいけないんだろうけど、やっぱわからん(笑)。一転メロウな「7.SNOW」は人間の魂の行方を歌った曲。人
は出会いと別れを繰り返すけれど、「身体」という貝殻を抜け出した「魂」という真珠もまた姿を変えながら生き続け
るのだろうか?それともすべてを忘れてまったく変わったものに変わってしまうのだろうか?・・・永遠のテーマです。
ふたたびR&Rな「8.ONE DAY」へ。「心が恥ずかしいなと思ったら地球の蒼さを思い出せ」ってメッセージ、多分ずっ
と忘れないだろうな。続く「9.ルビー」もある意味前作色。ルビーの罠にはまって、吉井和哉の罠にもはまってしまい
そうな曲ですな(←何言ってんだ?(笑))。そしてラストっぽくない「10.またチャンダラ」。なんだか香港とか韓国のヒ
ットソングか?と思ってしまうほど無国籍だ(笑)。サビ部分はまさしく日本的だけど。すごく駆け足になってしまいま
したが、やっぱり一筋縄ではいかないアーティストであることを立証した感のあるゴージャスかつ哀愁の一枚です。
Track No.
1. ビルマニア
2. フロリダ
3. ウォーキングマン
4. ノーパン
5. ヘヴンリー
6. 魔法使いジェニー
7. SNOW
8. ONE DAY
9. ルビー
10. またチャンダラ
 
 
 
 
 
 
 

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