吉井和哉 2nd「Hummingbird in Forest of Space」 2007.9.5
 
 本盤発表前に発売されたシングル3曲を聴いた限り「かなり重たそうなアルバムができるのでは?」と思っていま
したが、予想通り何もかもが重たいアルバムでした(笑)。前作よりもさらに人の心の内面に手を突っ込んだ、って
いう印象が強いのです。「マーチと外人無線」な(笑)「1.Introduction」を経て、異様な雰囲気の中始まる「2.Do The
Flipping」は、メロディアスなんだけど何だかとんでもないことをしでかしそうな曲(笑)。80年代の音楽を彷彿とさせる
「3.Biri」は自由な詩創作が印象的なロックチューン。でも何だかシリアス。そして彼の代表作になるであろう重厚な
ロックバラード「4.シュレッダー」へ。背中のシュレッダーですべてを刻んでしまおう・・・心の悲哀が投影された名曲。
一転、性愛をテーマにした「5.上海」。しかしこの曲の詞も制約を感じさせない自由さだ(笑)。「6.ルーザー」も奇妙キ
テレツな歌詞が並ぶ。きっと彼の頭の中を覗くと、こういう多少理解しがたいような妄想が広がっているんだろうな。
しかし「365歩のチータ」って(笑)。アコースティック色の強い「7.ワセドン3」(しかし今回のタイトルはみな「?」なもの
多いね(笑))は、根暗な少年を想起させる曲。「ワセドン」がどんなものかはわからないが、この不思議とこみあげ
てくる淋しさは何だろう?「8.Pain」は軽いけどダークさが広がるメロディーにのせて、やはり性愛をテーマに歌った
曲。今回は難解な詞が多い。いったい何回(笑)出てきたかな?今作の中で最もポップに感じる「9.Shine and〜」
経て、本格的なラブソング「10.バッカ」へ。クリスマスをテーマにした彼の曲って珍しい。そしてこの曲聴くとなぜか安
心する。なんせ今回の曲たちは難解な曲バッカだから(笑)。悲しい曲なんだけどね。「自分の人生は自分で勝ち取
れ」ってテーマを持つ「11.Winner」、かなり卑猥な歌詞が並んだロックチューン「12.マンチー」の後、ラスト曲である
13.雨雲」へ。懐かしさを感じるメロディーが印象的な曲。確かに人生においての”雨雲”って”一難去ってまた一難”
って言葉のように、一度去っても、またいつやってくるかわからないもの。だからこそ大切なものを今大切にしようっ
て想いが生まれるんだよな。以上全13曲ですが、この盤に限って言えば、彼に興味を持った人が最初に聴くべきア
ルバムではないっていう感じがします。それぐらい簡単には理解しがたい詞が並んでるから。もしかしたら彼はわざ
とそうしたのかも。言い換えればたったひとりの人間を理解するってことほど難しいことはないよってことなのかも。
Track No.
1. Introduction
2. Do The Flipping
3. Biri
4. シュレッダー
5. 上海
6. ルーザー
7. ワセドン3
8. Pain
9. Shine and Eternity
10. バッカ
11. Winner
12. マンチー
13. 雨雲
 
 
 
 

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