ソロ 29thアルバム

「すろうらいふすとーりー」

2003年10月22日発売

1. すろうらいふすとーりー     5. 人生の贈り物 〜他に望むものはない〜     9. 百日紅(ひゃくじつこう)
2. いつも君の味方     6. どんぐり通信     10.たいせつなひと
3. 風を見た人     7. 南風に吹かれて      
4. しあわせの星     8. 八月のガーデニア      
 
 日本人は忙しすぎて、心にゆとりがなさすぎる。だからもっと心にゆとりを持って生きていこうよ・・・そんなメッセージがこめられたタイトル。
30年のキャリアがありながら過去を振り返ることなく、まだ人を感動させる曲が自分には足りないと思ってる点がすごい。今日から何が出来
るかを常に考える・・・見習わなくては(笑)。愛しいと思える人に初めて出会った主人公が慌てて早口で相手のことを知ろうとしてしまう状況
を歌ったタイトル曲「1.すろうらいふ〜」。でもゆっくりじっくり付き合っていく・・・そんなゆとりが本当は大切なんだよね。「2.いつも君の味方」
は”人が生まれた意味は きっと誰かを支えるためにある”ってテーマにすごく感慨深くなる曲。「ありがとう」・・・この言葉って日本語の中で
世界に誇れる一番の表現じゃないかなって思います。自分を取り巻くすべてにものに「ありがとう」の気持ちをもっていければ、きっと精神的
に豊かな暮らしができるはず・・・だよね(笑)。イラク戦争に思いを馳せた「3.風を見た人」は犠牲になった幼き生命の意味について問いただ
す衝撃作。柔らかく優しい曲調の中で「殺されたあの子はもう人間に生まれ変わりたいとは思わないだろうね」っていう部分が限りなく悲しく
やるせない。「4.しあわせの星」は、人間だけがこの星を勝手気ままに作り変えて勝手に窮地に陥っている状況を歌った曲。生きとし生ける
ものみんなが仲良く少しずつ譲り合いながら幸せになれたら・・・そんな願いがこめられた曲。たとえその言葉がある人には偽善にしか映ら
ないとしても・・・当たり前のことを当たり前に歌えない世の中こそがおかしいんだとボクも思う。韓国のフォークシンガー楊姫銀さんとのデュ
エット曲「5.人生の贈り物」。誰でも若い頃に戻りたいと思う。でもさんざん悩んだり苦しんだりした若い頃にはもう戻りたくないよね、というのも
本音だよな。本当に大切なものって年老いてからでないと見えてこないのかもしれない。「6.どんぐり通信」は老いを感じ始めた自分たちのこ
れからの人生を見つめた楽曲。人間に時間を止めることはできない。ならば息絶えるその日までできるだけ後悔しないように生きたい・・・そ
その年代になったからわかることなんだろうな、きっと。新幹線のぞみ号のホームで見かけた泣きじゃくる女性をモチーフに作られた「7.南風
に吹かれて」は恋のすれ違いから離れてゆく二人が、別れる間際になって初めてあんなに君と見つめあったね・・・って表現が悲しい。「8.八
月のガーデニア」は失ってしまった愛すべき人を夏が来るたびに想い出す切なさを歌にした楽曲。花を見たり海を見たり、何かの拍子に誰
かを思い出すことがある。懐かしく思うと同時に、その人が二度と会えない人ならばそれは一気に淋しさに変わる。人の想い出ってホント切
ないよな。「9.百日紅」はわらべ歌”ひらいたひらいた”を導入部に据えた壮大なバラード曲。これはもう歌というより芸術作品といった方が似
合う気がする。日本人独特の切なさ、もののあはれが表現された曲。そして「10.たいせつなひと」。彼の原作を映画化した『解夏』の主題歌
になったこの曲で彼が曖昧な「愛してる」や「アイ・ラブ・ユー」を何とかして違う言葉で表現しようとした努力の結晶のような気がします。これが
また染みてくる。心にゆとりを持つ・・・それは単に時間にゆとりを持つんじゃなく、他の誰かを大切に思うことに繋がってゆく気がしますね。

さだまさし TOPページへ