ソロ 24thアルバム

「心の時代」

1998年9月23日発売

1. 心の時代     5. 秘密     9. 都府楼
2. クリスマス・ローズ     6. 神の恵み 〜A Day of Providence〜     10.航跡
3. 驟雨(しゅうう)     7. 不器用な花     11.白夜の黄昏の光
4. 君が選んだひと     8. こころとからだ      
 
 地球上で唯一人間だけが持っている”こころ”をないがしろにして、それでも成り立たせようとしている現代社会は確かに奇妙です。そんな
こころの欠けた社会を救えるのは・・・やはり”こころ”なんだと、そんな彼の意志を感じる一枚です。タイトル曲「1.心の時代」はポップなサウ
ンドにのせて、夢そして心を追いそして愛し続けていたいと歌った楽曲。それが”生きてる”ってことなんだよなあ。温かいアコースティックギ
ターの音色が印象的な「2.クリスマス・ローズ」は、思い出って人間にとって生きる糧になりうるものだなってことを実感させてくれる曲。確かに
思い出って成長するものかもしれないな。「3.驟雨」は哀しい旋律にのせて恋を失くした女性の心情を綴ったバラード曲。どこか遠い町であ
なただけを想ってこれからを生きよう・・・切ない作品です。優しくはねるようなメロディーで歌われた「4.君が選んだひと」は、たとえ君が僕の
元から離れて他の誰かと一緒になっても、僕は遠くから君を見守っているよ、という想いを胸にしまった男心が描かれています。これが恋か
ら愛に変わる瞬間なのかもしれません。たとえ彼女が自分のそばにいないとしても・・・。「5.秘密」は少年の淡くはかなく消えた恋心を歌った
作品。夏休み前の校舎で初めてくちづけた君は、二学期になっても学校に登校してくることはなかった・・・たた独り残された少年はこれから
この出来事を自分だけの秘密にしてゆく・・・切ない曲ですね。「6.神の恵み」はこの国すべての大人と呼ばれる人に聴いてもらいたいと思う
曲。僕らは生まれたこの国は戦争に負けた。だからもう間違いは犯さない。・・・簡単で単純なこのことをどうしてこの国の大人は理解しよう
としないのだろう?たとえ武力協力を申請されようと、もう二度と間違いを犯さぬよう武力は持ちませんと、何故言えないのだろう?魂を売り
渡さない勇気・・・それを持つことが未来というご褒美をもらえる最低限度の行動なんですよね。「7.不器用な花」は器用にふるまえない人に
向けて歌われた歌。確かに器用に何でもこなす人は重宝がられる。でもたとえ不器用でも一生懸命な人の方が・・・なんかいいよね。当然自
分も含めて(笑)。たとえ不器用でもその一生懸命さはきっといつか報われる。「8.こころとからだ」は、ひとりの人間の中にあるはずなのにア
ンバランスで相容れないこのふたつをテーマに掲げた曲。確かに愛することを楽しいと思う人も、悲しいと思う人もいる。それと同じように心
と身体もどちらかがどちらかの邪魔をする。深いなあ、この曲。「9.都府楼」は20年ぶりに大宰府を題材にした壮大な楽曲。人の心の移ろい
が起こると同時に、そこで人の世の哀しみの多くが生まれる・・・確かにそうかもしれない。「10.航跡」は、後ろを振り返るだけじゃなく前を向
いてもうちょっとがんばってみようよ、と言われてる気がする歌。今まで自分が歩いてきた道は自分にとってはたいした道じゃない。問題はこ
れからどう歩いていくか。その気持ちがまた明日を生きる力になるんだよな、きっと。「11.白夜の黄昏の光」は写真家・星野道夫氏をモチー
フにした楽曲。彼は1996年に殉職。その事実がこの優しい歌にさらなるリアリティをもたらす。こういう歌を作れるのはさださんをおいて他に
いないなと実感してしまう曲。『心の時代』・・・社会がもっとも大切にしなきゃいけない「こころ」に気づくのは、いったいいつになるのだろう。

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