ソロ 5thアルバム
「印象派」

1980年10月10日発売

1. 距離(ディスタンス)   6. 推理小説(ミステリー)
2. 検察側の証人   7. 0-15(ラブ・フィフティーン)[ リクエストのバラード〜素敵なTennis Boy ]
3. 聖野菜祭(セント・ヴェジタブル・デイ)   8. 神話
4. みるくは風になった   9. 博物館
5. たずねびと    
   
 思いっきり幻想的な、まるで少女マンガの中の美少年と化したようなさだまさし。いったいどうしたんだあっ!・・・あ、このアル
バムのタイトルが”印象派”だからこういうジャケなのかな?(笑)でも音楽そのものは、まさにさだ色そのものです。「1.距離」
都会に出てきて”街”という存在に疲れてしまった青年の心情を綴った曲。”変わらないこと”こそ実は最も難しいことなのかもし
れないな。「2.検察側の証人」は女の心変わりと、棄てられた男の悲しみを、裁判形式にしていろんな証人があらゆる角度から
証言する、というすごく斬新な楽曲。それぞれにはそれぞれの言い分がある。”正しいこと”なんていくつもあるものなのかもな。
「3.聖野菜祭」は身分の違う恋人を持つ青年の物語。最後のアナウンサーのしゃべりから、これが大昔の神話だってことがわ
かるけど、そこはきっとさださんが思い描いた理想郷なんだろうな。「4.みるくは風になった」は”みるく”という少女に恋をしたっ
ていうストーリー。でも彼女は”僕”ひとりを残して・・・そよ風のようなメロディーと一緒に悲しみまで運んでくるような、そんな曲。
「5.たずねびと」は、昔あるお店で恋人の彼が壁紙に記した二人のイニシャルを、今はひとりで見ている女性の青春への回顧
録。”色褪せてうずくまる 待つ人のないたずねびと”・・・なんて悲しい響きのする一節なんだろう。「6.推理小説」は恋人たちの
別れてゆくシーンを推理小説風にあつらえた淡々とした曲調の一曲。なんかどこかブルジョアの匂いがするな(笑)。「7. 0-15」
は、さださんがDJを務めるラジオ番組のお葉書コーナーと荘厳なバラード曲のコラボレーション。そして途中に挿入される”さら
まわしとスチャラカバンド”の曲「素敵なTennis Boy」がまたいい味出してるポップな曲。なんか得した気分になれる不思議な組
曲(?)ですよね(笑)。一転、そのコミカルさを吹き飛ばすかのようなアコースティックギター一本で綴られた「8.神話」は切り裂
かれるように切ない曲。いつかあんたが「これで終わりだ」って言い出す日が来るとずっと思ってた。でも大丈夫よ。私あんたの
ためなら死のうと思ってたんだから・・・一途過ぎる女性の悲しみがそこに広がっている。「9.博物館」は、今までの人生の涙の
数だけ部屋があり、そこには忘れるには重すぎるものが並べてある・・・と歌われたまさに人生の悲しみが綴られた楽曲。でも
最後の部屋は、お前と幸せになるために空けてある、という一節に救われるな。以上全9曲収録ですが、ヒジョーに実験的な盤
であると同時に、すごく西洋的なイメージを残す一枚です。でもジャンル的に言えば100%”さだまさし”ですけどね(笑)。

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