10thアルバム
「予感」

1983年3月5日発売

1. この世に二人だけ   6. 縁
2. 夏土産   7. テキーラを飲みほして
3. 髪を洗う女   8. 金魚
4. ばいばいどくおぶざべい   9. ファイト!
5. 誰のせいでもない雨が    
   
 このアルバムは従来のアルバムに比べて個人的にはコンパクトな「短編集」のように感じるんである。今まで
のアルバムではある程度のテーマが作品全体に広がっていたような気がするが、このアルバムでは楽曲それ
ぞれが個性を持ち、逆にヒジョーにバラエティーに富んでいると思う。「1.この世に二人だけ」・・・この世に二人
だけが生き残ったとしても、あなたは私を選ばないだろう、というスローな楽曲。しかし様々な表現には感心さ
せられる。「2.夏土産」では彼が友達と行くと言っていた旅行先に偶然自分の友達も居合わせ、その写真の中
の一枚に彼と見知らぬ女が映っていたという悲しい歌。ただでさえやさしいメロディーに加え、このどうにもやる
せないシチュエーションを彼女はどうやって思いついたのだろうか・・・名曲である。別れた男を忘れようとして
も忘れられない女を描いた「3.髪を洗う女」にも惹かれる。「4.ばいばいどくおぶざべい」はロック!ただ一言!
(笑)。歌詞カード読みづらい(笑)。「5.誰のせいでもない雨が」は様々な人々の様々な悲しみを「月日が経つ」
ことによって早く癒してあげて、と歌っているバラード。しかし「月日が経つ」ことによって、忘れてはいけないこと
までも忘れている人々を皮肉ってるともとれる深い歌。「6.縁」はこのアルバムの中でも一番感慨深い楽曲。縁
のある人とはたとえ遠くにいても引き合うし、縁のない人とは顔を合わせてもすれ違う・・・そう、たくさんのいろ
いろな偶然が重なり、運命の人と出会うのも「縁」の仕業であろう。「7.テキーラを飲みほして」ではスローなロッ
クに乗せ、6年もの間好きだった男が身を固めるのを聞き、女はテキーラを!や、自棄酒(やけざけ)ですね・・・。
「8.金魚」は曲の後半まで歌詞が出てこない。不器用な人生を「金魚すくい」にたとえて歌ってる。この歌い方は
多分しゃべり声に近いんじゃないかな。そしてラストは不朽の名曲「9.ファイト!」である。「闘う君の唄を 闘わ
ない奴らが笑うだろう〜」・・・不器用だっていいよ。世間の風は冷たいけどひたむきに向かって行こうという曲。

 

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