彼女の音楽実験劇場『夜会』の13作目『24時着・0時発』で歌われた楽曲たちの中から選りすぐられた11曲を新たな |
アレンジと歌唱で再構築したアルバム。卵からかえり川を下り、再び同じ川を探し当て卵を生み一生を終える鮭と、主 |
人公のデザイナー女性の運命を織り交ぜながら描かれたこのお話は、ボクにはテーマがドでかすぎてイマイチ理解し |
きれてない部分もありますので(笑)あくまで曲にこだわって書いていきたいと思います。「1.遺失物預り所」は・・・まあ |
タイトルどおりの曲だ(笑)。ゆったりとした雰囲気が安らぎを感じさせてくれますね。「2.帰れない者たちへ」はもう過去 |
へは戻れない者たちの悲哀を歌い上げた楽曲。だけどそれは生きている者たち皆に言えることだろう。ストリングスの |
音色が胸に響いてくる歌。「3.線路の外の風景」はメロディーがすごく響いてくる一曲。この中でシングル化するとしたら |
この曲かな、っていうぐらい中島みゆきらしい硬軟さが同居した歌。このレールに乗せられた人生を嫌う女性像は、彼 |
女自身なのかもね。「4.メビウスの帯はねじれる」はみゆきさんのもうひとつの顔とも言える「ねじれ歌唱」(笑)で歌われ |
た曲。「5.フォーチュン・クッキー」は自分の運命を模索する歌。甘いと思って選んだ菓子だけど、実は捨てた方の菓子 |
が自分の望んでいた人生だったのかも・・・これって誰にもあることだよね。「6.闇夜のテーブル」は妖しい雰囲気漂うナ |
ンバー。カードには表と裏がある。でも人生の表裏には・・・境はない。「7.我が祖国は風の彼方」はもう戻ることのでき |
ない祖国へ想いを馳せる楽曲。だけどそこへはいずれ辿り着ける。自分の生命を燃やし尽くした時に・・・。「8.命のリレ |
ー」はたとえこの一生だけで目指す場所に辿り着けないとしても、命のバトンを繋いで引き継いでゆけ・・・と歌われた |
まさに”命のリレー”をテーマにした曲。シングル化するとしたら、あともう一曲はこの曲だな(←何曲あんだよ(笑))。 |
「9.ミラージュ・ホテル」は前々作『恋文』にも収録されてますが、激しいロックバラードだった前々作に対し、こちらはしっ |
とりとしめやかに歌われています。「10.サーモン・ダンス」はまさに命の鼓動をそのままダンスにしたかのような躍動感 |
あふれる楽曲。このアルバムの核をなす一曲です。「11.無限・軌道」は、すべてには終わりはなく、たとえ終わりを迎え |
たとしても、それと始まりは繋がっていると歌われた優しいバラード曲。とにかく全編に流れるテーマは”生命”だと思い |
ます。生命が軽んじられる現在だからこそ、生命をもう一度見直さなきゃ!そんなテーマも感じる一枚です。 |