中島みゆきの歌劇「夜会」は1995年の「2/2」から全曲書き下ろしの新曲で披露された。このアルバムと、同時 |
発売された「月-WINGS」では95年・97年の「2/2」、96年の「問う女」、98年の「海嘯」の4編の「夜会」からの新曲 |
を新たにアレンジして発表されている。「1.竹の歌」はまさに竹やぶの中にいるような雰囲気を醸し出し軽めのボ |
ーカルに思わず聴き入ってしまう。「2.NEVER〜」は過去を捨て去って、明日だけを見つめて生きていこうとする |
女性の強い決心。「3.いつか夢の中へ」はデュエット曲でストリングスが印象的な静かなバラード。宮下一文氏と |
のハーモニーが美しい。一転「4.羊の言葉」は重厚なロックサウンドだが、彼女が二重人格かと思うほどの不思 |
議なボーカル二重奏。「5.異国の女」は彼女のボーカルが歌詞同様、どこかをさまよう風のように聞こえる。「6.あ |
なたの言葉がわからない」は異国人との会話を実感する。メロディーがとにかく素晴らしい曲。「A,B,C,D,E,E,G」・・・。 |
「7.難破船」はとにかくシリアスさを感じさせる曲。彼女のボーカルも意図的に無表情さを表現している。そう、人 |
は風に吹かれて海をさまよう難破船のようなもの。何だかんだいっても自然のおもむくままに流れ流されてゆくも |
のなのさ・・・。「8.知人・友人・愛人・知人」はイントロが彼女の曲「砂の船」(アルバム「寒水魚」に収録)を彷彿と |
させる。ちょっと地味だけど、このアルバムの中で一番好きな曲なのだ。さみしさ120%の曲なのだけれどもね・・・。 |
「9.Good Morning〜」は語りかけるようなボーカルが印象的。ワルツ調で物語は進み、みゆきさんの英会話も聴け |
る(笑)。ちなみに「Castaway」とは「漂流者」という意味らしい。ラストの「10.明日なき我等」は「過ぎた日々と明日 |
は 支え合う弥次郎兵衛」というフレーズに妙に納得してしまう。明日に希望がなくても、明日をいい日にしなけれ |
ばと誰もが思うことを再認識させてくれるバラード曲。この盤は全編を通して「さすらい」を感じる珠玉の歌集です。 |
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