1stアルバム
「SION」

1986年6月21日発売

1. 風向きが変わっちまいそうだ   6. 俺の声
2. SORRY BABY   7. TONIGHT
3. レストレス・ナイト   8. 今日もまんざらじゃなかった
4. コンクリート・リバー   9. ハード・レイン
5. 新宿の片隅から   10.街は今日も雨さ
 
 自主制作盤『新宿の片隅で』から「6.俺の声」「10.街は今日も雨さ」のバンドサウンドバージョンを含んだ、彼のメジャー
第一作。疾走感あふれる「1.風向きが変わっちまいそうだ」は、今までの自分の信念を曲げずに生きていこうとする彼と、
それを許すまいと彼を攻め立てる街の攻防戦が繰り広げられています。思い通りには生きにくい世の中でもがいてる姿
が浮かんできます。後に福山雅治がカバーしたことで有名な「2.SORRY BABY」はロッカ・バラード。ここまで自分は足り
ない人間だから、お前がほしいけど愛し方がわからない・・・彼らしい楽曲。「3.レストレス・ナイト」は、生きていることさえ忘
れたいぐらいのロクデナシさ、とまたも自分を卑下してるけど、行間からもっとまともな人間になりたいっていう彼の願いが
読み取れる気がします。「4.コンクリート・リバー」は”街”という冷たい河の流れに乗りたくても乗れない者たちの思いを綴
ったバラード曲。悲しい別れさえも、この街は飲み込んでいってしまう・・・そんな悲しさを歌った名曲。「5.新宿の片隅から」
は何かに追い立てられるような雰囲気が伝わってくるロックチューン。”新宿”というののしりあう街の中で、彼が見た悲し
みがそこに広がっています。「7.TONIGHT」はジャジーなピアノイントロが印象的なミディアムテンポな楽曲。「たかが70年
まして勝手に幕は降りてしまうなら やるだけやるさ」っていう一節が染みる一曲。「8.今日もまんざらじゃなかった」はそう
は言いながらも、金が無い・風が冷たい・お前が忘れられないことをのぞけば・・・と歌ってる。今日もまんざらじゃなかった
・・・彼は必死にそう思おうとしてたのかもしれないな。「9.ハード・レイン」は自分の周りに転がる退屈なものすべてを洗い流
してほしいと願う男の心情を歌った楽曲。”沈黙の暴力に慣れるなよ 俺は散弾銃を撃つ”っていうコピーがついたこの盤
は、まさに散弾銃で撃たれたかのような印象を受けるアルバムです。ちなみに、このアルバムが出ることがうれしくて母親
に話したら「嘘ついて喜ばせようとせんでもええから」と信じてもらえなかったという微笑ましいエピソードもついてます(笑)。

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